第7話

文字数 434文字

わたし、フサくんに会いに行った。
初冬、強い風の日。
フサくん、冷たかった。
目を合わせない。
鶴ちゃんを「君の子供」って言う。
会いにこなければ良かった。
それでも謝りたかった。
あなたをこんな風にしちゃった。
ごめんなさい。
あなたはわたしなんか居なくても、楽しく生きて行けるんだよ。
すっごく魅力的なんだから。
ホントはわたしのが辛いんだよ。
フサくん、他のひととなんて。
だけど、今はダメなんだ。
わたしもてんてこ舞いだよ。
ごめんね、少しだけ、鶴ちゃんしっかりするまで、待ってはくれないかな?
フサくん、無言でうなだれた。
そこにビューっと突風。
フワ。
あれ?ズラが。
ハゲヤマフサオのフサフサなズラが。
飛んだ。
ツルピカだ!

あたふたして、観念して、事情を話す。
病気で毛を失った事。
おばあさまにズラ着用を義務づけられた事。
「八景山が禿げはまずい」と。
そのコンプレックスに、様々な能力を必死に磨いた半生。
いつも嘘をついてる罪悪感。
だから、女性は、名前の事を笑ったわたしだけ。

何それかーわーいーいー!
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