たまには我が世話をする!

文字数 2,050文字

※絵が古いです(/ω\)

樹海の霧に浮かび上がる、怪しくも荘厳な城影(シルエット)

病院を営む魔王の根城である。


そこには孤児院や、ちょっとした菜園や薔薇園があったりと、

見かけとは裏腹に支配者の気質がよく表れていた。


魔界最弱と称される蟲の魔物達を側におき、

彼らを統べる者・ジギは、

『魔王』兼『院長』として、超~~忙しい日々を送っていた。


今日は、そんな超~~忙しい魔王様の貴重~~な休日。




―― 早朝。

ジっギ~! 

朝である、起きるがよいぞ! 

じぎじぎじぎ~~♪(すりすり)

うーん、ゥヒヒ//// …………ハッ!?

なっ、何故お前がここにいるんだァ? 

……しかもオレ様より早くに起きてるだなんて、何かあったのかァ……?;(困惑)

ふっふ~♪ 

お前の休日とあって、寝ずにスタンバイしていたのである。

ジギにはいつも世話になっているからな。

日頃の感謝を込め、たまには我が世話をしてやろう!

……ク、クク、クククク……!

(にやにや) 

そうかそうかァ……。で、世話とは一体何をしてくれるんだァ……?

(にやにやが止まらない)

お前がいつもしてくれる事だ!

まずは身支度を整えようぞ。

我に任せるがよい!

ほ~ォ。

お手並み拝見だぜェ~……♪

(わくわくっ)

ウゥーン……?(ズタボロッ)

よし、完成なり! 

休日であるし、この格好でよいな?

格好自体はいいが、何故こんなに破けてるんだァ……?;

一日の始まりに洗いたての服を着られるようにと、昨晩洗っておいたのだ♪ 

その時にちょっと破けたかもしれん。

……すまぬ;

お、おォ……まァ良しとするぜェ……;

(この生乾き感は、今朝着るものを昨晩洗ったせいかァー・……;)

……ところで、もう少し髪にブラシを入れて欲しいんだがー……。

もうブラシは十分したではないか!

さぁ次は朝食である!

我が丹精込めて作るゆえ、待っておれ♪(すたたたー)

えッ……;

エミたんの手作り……????;

これはじっとしていられないぜェェ……悪い意味で。

(慌てて様子を見に行く)

―― 魔王城の厨房。
おいしくな~れ♪ おいしくな~れ♪ 

るん♪(グシャア!!)

るん♪(ブニィイ!!) 

るーん♪(デロォオオ!!)

様子を見守る魔物達

「「「 は わ わ !! 」」」

……。
ジ、ジギ様!

エミエル様のご要望で厨房をお貸ししたのですが……。

朝食を作ると言って、何やら竜族式錬金術を……!!;

……錬金術じゃない。

あれは不器用なりの料理だ……。

一応、食べられるもので出来ているようだなァ……。
……まさかアレを食べるおつもりで!?;

おやめくださいジギ様!

見たところ、

あれは色々混ざっています!

超絶色々混ざっています……!!

エミエルに料理を振る舞われるのは久々だ……。

案外、以前より腕を上げているかもしれない。

……なんでも見た目で判断してはならないぜェェ……。

ジギ様……。

膝が、震えていますよ……?

不穏な空気がただようなか、ジギの食卓に朝食が運ばれてきた。
いただきます……ングゥウ……!!!?

(なっ、なんだこれは! 甘辛酸っぱ渋苦いッ! 食感は、なんかジャリジャリする……!!)

ククク……お水下さい。

うむ。我がぶれんどしたハーブティーをどうぞ!

ジギの好きなハチミツを入れ、ほんのり甘くした。

スッキリと目が覚める効能があるぞ。

(コップにデロデロした液体を注ぐ)

(ごくごく……)

……フギュゥウ……!!!!

(なっ、なんだこれは! 雑草汁にほんのりハチミツの気配があって、

ブルーベリーの色をしているが何故か香りは茄子に似ているッ!

あとなんかジャリジャリする……!!)

美味いか!?

美味いか~~~!?!?♪♪♪

味見したア……?
もちろんなり!

むしろ味見をしすぎて半分くらい食べてしまったのだ……////(照)

我はもうお腹いっぱいである! 全てジギが食べるがよいぞ♪

なるほどねェ……。

アァうまい。てゆうかUMAい。

むしろ馬い。(白目/もぐもぐ)

様子を見守る魔物達

「「 まさか、完食なさるとは……; 」」

ぷは~おなかいっぱいだぜぇ~。

おなかがいっぱいになったら、なんだかねむくなってきたぜぇ~。

いっぱいねるぜぇ~。

もういしきをたもっているのすらあやういのぜぇ~(ふらふら)

∑ なぬ?

この後、腹ごなしに山登り(標高8000m)でもしようと思ったのだが……。

そんなに疲れているのか。ならばゆっくり休むがよい。

あぁ、まるでお看取(みと)りのよう……。
よしよしジギ、いつも我に良くしてくれてありがとうな♪

このくらいであれば我にも出来るゆえ、疲れた時はいつでも頼るがよいぞ。

お前は働きすぎである。

ンンアアアリガトヨォオォ……。

もしも……もしもオレ様が無事に目覚めたら、花嫁修行として色々教えてやるぜェ……。

このままじゃお前、嫁の貰い手がないだろうからなァ。

……ま、その時はオレ様が……ってホアァ、意識が遠…く……(ガクッ)

おやすみ、我のかわゆい黒薔薇よ。

よい夢を♪(*´ω`*)


ふぁぁ……。

なんだか我も眠いなり。

隣で仮眠を失礼する。すぴー。

(一緒の布団に潜り込む)

ジギは自分の病院に入院した。
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登場人物紹介

【 ユケイ 】

CRYSTAK CROSSの主人公。

ひょんな事から7つのクリスタルに封じられた記憶を取り戻すべく、翠と一緒に頑張る10歳児。

口癖は「ほーん」「~なんだよ」「~だよん」。

お化けが怖くて夜一人でトイレにいけない。

同年代や年下の前では頼もしいが、年上相手には甘えん坊になってしまう。

必殺技に変な名前をつけがち。

現実世界:エディ・ウィローシュ(10歳)

【 翠《すい》】

水のクリスタル所持者

ユケイ君が可愛すぎて毎日がハッピー☆

他のクリスタル所持者達を裏切りユケイの味方をしているが、色々とヒミツだらけ。

その姿はクリスタルの能力によってできた水の分身体であり、本体の所在は不明。

本の世界のルールについて、なにかと詳しいようだが……?

【 シバ 】

ユケイを利用して成り上がった、海賊船の船長。

銃の腕は超一流。

現実世界:シルヴァ・アディントン(16歳)

【 リズ】

無口で謎の多い竜族の女の子。

ユケイに執着しており、どこまでも追いかけてくる。

現実世界:リズリット・ローリー(10歳)

【イナフ】

竜族の研究所に囚われていた竜族の青年。

ユケイと共に研究所からの脱出を試みる。

身のこなしが素早く、足技が得意。

現実世界:イアン・ハイアット(16歳)

【エミエル】

光のクリスタル所持者

竜界の覇者であり、竜族達を束ねる王。

少女の姿をしているが2000年以上生きており、その正体は巨大な竜である。

魔王ジギとは仲良しこよし同盟を結んでいる。

好きな食べ物は苺。水が苦手で風呂嫌い。

【 ジギ 】

闇のクリスタル所持者

魔界の支配者であり、魔族達を従えている王。

闇の魔法を操る魔法使い。気付いたらエミエルのお世話を焼いている。

見た目の雰囲気に反して、可愛い小物やお菓子作りや裁縫が好き。

キュンは1日3度まで。4度目は死(?)に至る。

万姫《ワンヂェン》

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

千人斬りの異名を持つ。

元は風の国の第一皇女。全ては敬愛するボスの為に。

現実世界:王・深緑(ワン・シェンリュ)(17歳)

ヤグール

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

魔獣使いの異名を持つ。

万姫を気にかけている。

現実世界:ヤーコフ・スミス(44歳)

バル・ムワ

三大海賊団『ネヴァサ』の船長がひとり。

強欲の王の異名を持つ。

スー

竜族三姉妹の長女。

万姫のお世をしている竜族。

透視や近い未来を予言する能力をもっている。

現実世界:王 思颖(ワン・スーイン)(42歳)

【イルヴァ】

竜族の王国を守護する白薔薇騎士団の団長。

エミエルに絶対の忠誠を誓っている。

三度の飯よりイナフのことが好き。

超泣き虫。

現実世界:オリヴァー・イェリデン(15歳)

【 ラダリェオ 】

類まれな戦闘の才を持っているが、

残酷なことが嫌いな変わり者のロゴドランデス族。

セスとイナフにはめっぽう弱い。

わりとツンデレ。

現実世界:ランドルフ・ハイアット(38歳)

【 エバ 

人間界に生まれ竜界で育った、

砂漠に住まう力自慢の竜族。

マイブームはラダリェオと戦うこと。

現実世界:エマ・アシュバートン(36歳)

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