第9話 長谷川参上!
文字数 1,030文字
オレはしばらく野球の練習を休むことにした。
ソラと一緒に登下校し、オレの部屋でゲームをしたり、公園に行ったりした。時々リンもやってきた。
ソラはオレんちに泊まるようになってから、随分明るくなったように思う。
ケラケラと声を出して笑った時には驚いた。
オレは妙に嬉しくて、それからはくだらないギャグを一生懸命考えては披露し、ソラを笑わせることに使命感を見いだすようになっていた。
格闘ゲームも上達し、ワーだの、キャーだのはしゃぐようになって、勝ったときにはやったー!と声を出して喜んだ。
オレはそんなソラが可愛くて、ワシワシと頭を撫でてやるようになった。
そのたびにソラは大きな瞳をキラキラさせて、嬉しそうにオレを見た。
オレはソラをとても可愛がった。
それは一人っ子のオレに突如弟が授けられたようなものでもあり、ソラは年齢よりも体が小さく、さらに幼い顔立ちもあって、オレの庇護欲をそそるのだ。
だけど、その白いすべすべの肌に触れたくなるのは、また違った感情だったのかもしれないが、その時のオレには、まだその区別はつかなかった。
ソラがうちに来て三日目の放課後、ソラと公園の歩道を歩いていたとき、後ろから「おい!」と呼び止められた。
振り向くと、長谷川が立っていた。中学生の方だ。後ろに同じ中学生らしき男子が二人いた。
オレはヤバいと思ってソラの手を取り逃げようとしたが、長谷川は瞬時に駆け寄り、出遅れたソラの腕を掴んだので、足を止めざるを得なかった。
「お前、分かってんだろ。うちの弟に手出したらどうなるか…」
「…」
長谷川は、髪は金髪、制服のブレザーの下のシャツのボタンを真ん中くらいまで開け、だっぷりしたズボンから裾を出した、ザ・不良といういで立ちで、身長は170㎝以上ありそうだった。
オレは勝ち目はないとすぐに判断して、何とかこの場をやり過ごす方法を頭の中で考えていた。
すると、長谷川がオレの胸倉を掴んで、「覚悟しろ」と呻くように言うと、オレは思いっきりグーで殴られた。
オレはよろめいて地面に倒れた。口の中に血の味が広がる。
痛かったけど、これで終わるのなら安いものと思った。
さっさと帰ろう、と立ち上がろうとしたが、他の二人がオレの両腕をそれぞれ掴み押さえつけてきた。
体が固定され、目の前に立ちふさがる長谷川を睨みつけると、奴はオレの顎を蹴りあげた。
顔中に激痛が走り、涙が勝手に出てきた。
もうどうにでもなれ、と半ば投げやりになってうなだれていると、
「やめて!」
というソラの声が聞こえた。
ソラと一緒に登下校し、オレの部屋でゲームをしたり、公園に行ったりした。時々リンもやってきた。
ソラはオレんちに泊まるようになってから、随分明るくなったように思う。
ケラケラと声を出して笑った時には驚いた。
オレは妙に嬉しくて、それからはくだらないギャグを一生懸命考えては披露し、ソラを笑わせることに使命感を見いだすようになっていた。
格闘ゲームも上達し、ワーだの、キャーだのはしゃぐようになって、勝ったときにはやったー!と声を出して喜んだ。
オレはそんなソラが可愛くて、ワシワシと頭を撫でてやるようになった。
そのたびにソラは大きな瞳をキラキラさせて、嬉しそうにオレを見た。
オレはソラをとても可愛がった。
それは一人っ子のオレに突如弟が授けられたようなものでもあり、ソラは年齢よりも体が小さく、さらに幼い顔立ちもあって、オレの庇護欲をそそるのだ。
だけど、その白いすべすべの肌に触れたくなるのは、また違った感情だったのかもしれないが、その時のオレには、まだその区別はつかなかった。
ソラがうちに来て三日目の放課後、ソラと公園の歩道を歩いていたとき、後ろから「おい!」と呼び止められた。
振り向くと、長谷川が立っていた。中学生の方だ。後ろに同じ中学生らしき男子が二人いた。
オレはヤバいと思ってソラの手を取り逃げようとしたが、長谷川は瞬時に駆け寄り、出遅れたソラの腕を掴んだので、足を止めざるを得なかった。
「お前、分かってんだろ。うちの弟に手出したらどうなるか…」
「…」
長谷川は、髪は金髪、制服のブレザーの下のシャツのボタンを真ん中くらいまで開け、だっぷりしたズボンから裾を出した、ザ・不良といういで立ちで、身長は170㎝以上ありそうだった。
オレは勝ち目はないとすぐに判断して、何とかこの場をやり過ごす方法を頭の中で考えていた。
すると、長谷川がオレの胸倉を掴んで、「覚悟しろ」と呻くように言うと、オレは思いっきりグーで殴られた。
オレはよろめいて地面に倒れた。口の中に血の味が広がる。
痛かったけど、これで終わるのなら安いものと思った。
さっさと帰ろう、と立ち上がろうとしたが、他の二人がオレの両腕をそれぞれ掴み押さえつけてきた。
体が固定され、目の前に立ちふさがる長谷川を睨みつけると、奴はオレの顎を蹴りあげた。
顔中に激痛が走り、涙が勝手に出てきた。
もうどうにでもなれ、と半ば投げやりになってうなだれていると、
「やめて!」
というソラの声が聞こえた。