その5 種族特性とモンスター

文字数 968文字

俺の分身でもあるクソジジイが老衰で死んだため、

人間の町に強制的に戻された。


なあ、最初から詰んでないかこれ。

クソジジイは種族特性によるデメリットがね……。

私のキャラで迎えに来てあげようか?

他の町に送るスキル持ってるから送ってあげるよ。

ありがたい申し出だが、最初は自分の手で何とかしたい。

とりあえず歩いていくことにする。

しかし、酷い特性だな……。

おお、流石なっさん!

かっこいいこと言うねぇ。

再び町を出て西に向かう。

今度は歩いて行くが、クソジジイのせいか異様に歩く速度が遅い。

マップの半分ほど西に向かった所で自分のキャラが勝手に座り始めた。

おい……今度は勝手に座ったぞ。

しかもクリックしても全く動こうとしないぞ。

クソジジィだからね……。

連続で歩くと疲れちゃってこうやって休憩取り始めるんだ。

回復アイテムを使えば直ぐに立ち上がるよ。

プレイヤーなめてんのかこのゲーム……。

今は回復アイテムは貴重な品だし、動くまで待つか……。

次のマップに着いた頃には、

夕日はすっかり落ちて日が沈んでいた。

あ、やばい。

そのマップ、アクティブモンスターがでるよ。

ああ、襲ってくるタイプの敵か。

面倒だが倒していくしかないな……。

おんどりゃ、クソボケゴルァ!

老衰でくたばりやがれクソカスボケがぁ!

オラオラ!このくたばりぞこないのボケジジイがぁ!

げっ。こいつ結構強いぞ。

ていうか何だこの口の悪さ。ヤクザか。

なにメンチきっとんねん!

ブチくらわすぞクソジジイ!

あ、クソジジイがいる~!

ぶっ殺してあそぼーっと!

敵のチョイスおかしいだろ!

クソジジイって人間と対立してるし?

人間種族ならただのNPCだけどクソジジイだと襲われる仕様みたい。

せめて台詞まともにしろよ。

女が「ブチくらわす」とかおかしいだろ。

ああああ、やばいやばい。死ぬ!

逃げろ、とりあえず誰もいない方向へ逃げろ。

俺は他のプレイヤーに接触しないように注意しながら、

慎重に逃げ道を探していく。少し歩くと勝手に座りやがった。

だから勝手に座ってんじゃねーよ!

座ってる場合じゃねえだろ!

生命の危機だろ今!走れ走れ!

俺は回復アイテムで無理やりジジィを立たせると、

ダッシュボタンを押してジジィをダッシュさせる。

あ、だから安易に走ると……。
あああああ!

老衰で死んだぁぁぁああ!

ジジイが二度目の老衰で死んだ頃、辺りはもう真っ暗になっていた。
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登場人物紹介

【七 茂夏(なな しげなつ)】

通称なっさん。

色々なゲームをプレイして遊んでるゲーマー。

その素顔は謎に満ちている。


市販のゲームは大抵遊び尽くしてしまう程暇を持て余しているが

別にニートというわけではないらしい。

ゲームは上手くプレイするより楽しんでプレイする派。


服や下着をよく盗まれ、

スマホに女の子の情報を登録すると消され、

お気に入りの夜のオカズを消される。

全て幼馴染である恵美の仕業。

色々と散々な目に遭わされている。


恵美の事はクレイジーな女だと思っており、

恐怖の対象であるが、何だかんだで一緒に遊ぶくらいには仲が良い。

【大文字 恵美(だいもんじ めぐみ)】

茂夏の幼馴染。

勝手に茂夏の家の合鍵を作り、

毎日のように茂夏の部屋に不法侵入している。

当たり前のように茂夏のパンツや靴下を持っていき、

コレクションとして自分の部屋にお持ち帰りしている。

色々と危ない。


独特の感性を持っており、

「なっさんの顔はとてもチャーミング」と思っている。


将来、茂夏の嫁になるために

茂夏の彼女になりそうな女を片っ端から調べて

徹底的にそのフラグをへし折っている。


茂夏の両親には既に『とても出来た女の子』と思わせており、

外堀は埋め終わっている模様。

じわりじわりと茂夏の背後から迫っており、

その背を捕らえるのはもはや秒読み段階。

ある意味ホラー。将来の山姥候補。

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