その7 倉庫サービス

文字数 1,361文字

あれから夕食と入浴を挟み4時間程経過した。

俺の分身はやっとクソジジイの町へ到着した。

や、やっと着いた……。
おおっ、すごい!

本当に一人で町につくなんて……。

さすがなっさん。痺れるねぇ。

えっ。

お前何でまだ居るの?

もう夜中の12時回ってるぞ。早く帰れよ。

なんでって……。

今夜はここに泊まっていくつもりだし。

お義母さんも「今夜はおたのしみね」って言ってたよ。

ババァー!
俺はおふくろの下へ抗議しにいったが、聞く耳持たず。

結局、恵美を部屋に泊まらせる羽目になる。

クソッ……。
諦めて私とイチャコラしろ。

もしくはゲームでも可。

ゲームで頼む。

あとその右手に持ってる俺のトランクスを元の場所へ戻せ。

ポケットからはみ出てるトランクスもな。

ちっ。新しいコレクションが……。

じゃあ私も新しいキャラ作るからPT組もうか。

コレクションっていうな。


そうしてくれると助かる。

そっちのキャラが来るまで町を周ってるぞ。

あ、大丈夫。

チュートリアル飛ばして直ぐに向かうから。

クソジジイ:メリーナちゃんと新婚生活したいお……

クソジジイ:らめぇぇ!そんな大きいの入らないよぉおお!

クソジジイ:誤爆しました(´・ω・`)

クソジジイ:クソジジイ同士の合体www

クソジジイ:31-40帯のPT募集@2

ぺむーさ:ここまで全部クソジジイwwwワロスwww

ここも地獄のようなログだな。

名前が同じだから訳のわからん事になってやがる……。

なっつん:

はい、お待たせ~。
うお、これが恵美のキャラか。

山が歩いている姿はシュールだな……。

しかし、やけに早く俺の所まで来たな。

NPCの転送使ったからねー。
うおーい!

そんな便利なシステムあるなら先に教えろ!

あ、それ無理。

ためしにそこのプララ職員さんに話しかけてみて。

ああ、このメイドみたいな奴か。
プララ職員:

プララサービスへようこそ。

こちらでは倉庫の利用や転送のサービスなどを行っております。

本日はどういったご用件でしょうか?


[セーブポイントサービス]

[転送サービス]

[倉庫サービス]

[用はない]

なんだ。

態度も普通だし、ちゃんと利用できるじゃないか。

まあ、さすがにこういうのは種族関係なく利用できるものだしな。

俺は転送サービスにカーソルを合わせて

マウスのボタンをクリックする。

プララ職員:

テメーのような名声もない小汚いクソジジイが

このサービスを受けられると思ってんのでしょうか?

随分とおめでたい脳みそをお持ちですね。

おととい来やがり下さいませ、クソカス野郎。

急にボロクソに貶しやがった!

猫被るってレベルじゃねーぞ!

しかも最後の文、わざわざ太字にしてやがる!

ね?

クソジジイがサービスを受けるためには

クエストをこなさないとだめなんだ。

おい、ちょっとまて。

それじゃまさか……。

倉庫サービスをクリックする。

プララ職員:

テメーのようなクソジジイが

使用できる倉庫なんてどこにもございません。

そのまま野垂れ死んでくださいませ。

セーブポイントサービスをクリックする。

プララ職員:

貴様にセーブする権利はない。

老衰で死ね。

ああああああ!

クソジジイに厳しすぎるだろこのゲーム!

せめてセーブポイントの変更ぐらいさせろよ!

死んだらまた人間の町に戻るじゃねーか!!

まあ、上級者向けだから……。
いや、上級者向けとか以前にだな……。

このゲームの開発、ジジイに親でも殺されたのか?

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【七 茂夏(なな しげなつ)】

通称なっさん。

色々なゲームをプレイして遊んでるゲーマー。

その素顔は謎に満ちている。


市販のゲームは大抵遊び尽くしてしまう程暇を持て余しているが

別にニートというわけではないらしい。

ゲームは上手くプレイするより楽しんでプレイする派。


服や下着をよく盗まれ、

スマホに女の子の情報を登録すると消され、

お気に入りの夜のオカズを消される。

全て幼馴染である恵美の仕業。

色々と散々な目に遭わされている。


恵美の事はクレイジーな女だと思っており、

恐怖の対象であるが、何だかんだで一緒に遊ぶくらいには仲が良い。

【大文字 恵美(だいもんじ めぐみ)】

茂夏の幼馴染。

勝手に茂夏の家の合鍵を作り、

毎日のように茂夏の部屋に不法侵入している。

当たり前のように茂夏のパンツや靴下を持っていき、

コレクションとして自分の部屋にお持ち帰りしている。

色々と危ない。


独特の感性を持っており、

「なっさんの顔はとてもチャーミング」と思っている。


将来、茂夏の嫁になるために

茂夏の彼女になりそうな女を片っ端から調べて

徹底的にそのフラグをへし折っている。


茂夏の両親には既に『とても出来た女の子』と思わせており、

外堀は埋め終わっている模様。

じわりじわりと茂夏の背後から迫っており、

その背を捕らえるのはもはや秒読み段階。

ある意味ホラー。将来の山姥候補。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色