その6 種族スキル

文字数 926文字

2度目の老衰で死んだ後、

再び敵を倒しながらクソジジイの町へ向かう。

なんだかだんだん虚しくなってきた。

やっと町まで半分ぐらいか?

もう8時回ってるじゃないか……。

クソ、何で俺はこんなゲームをやっているんだ。


あれ?

なっさん、スキル取らないの?

スキル?

まだ職業に就いてない状態だから、

スキルなんて取得できないんじゃないのか?

種族のスキルは無職でも取れるよ。

ほら、このスキル画面の種族ってタブ。

あ、本当だ……。

このままだとジリ貧だし、何か取ってみるか。

メリーナ:

メリーナがスキルの説明を致しますぅ☆

どのスキルの説明を見ますか?


【オムツ取替え】

【姥捨て山】

【死亡保険】

【90度に曲がった腰】

【線香花火】

不穏漂うスキルしかねーぞ。

ていうか説明するのお前かよ。夢に出るわ。

たしか【オムツ取替え】は回復スキル。

【線香花火】はバフスキルだったはずだよ。

【死亡保険】は死んだ時に確率でお金が入るみたい。

後は忘れちゃった。ごめん。

【オムツ取替え】で回復ってなんだよ……。

まあいい、今はバフスキルが欲しいから線香花火を使ってみよう。

俺は線香花火をクリックしてスキルを取得。

ショートカットにスキルを登録して早速使ってみることにした。

年金暮らしでのうのうと生きやがって……。

さっさとくたばりやがれ、クソジジイ!

あ、クソジジイだ!

ぶっ殺して、遺産を全部奪ってやろーっと!


老人に恨みでもあるのかこのゲームの開発は。

よし、どの程度楽になるか試してみるか。

【線香花火】を使った途端、クソジジイの動きが機敏になる。

瞬く間にモンスターと人間をなぎ倒した。

うお、あっさりと敵を倒したぞ……。

これ強すぎじゃないか?バランスおかしいぞ。

うーん……そういえばこのスキル、

凄いパワーアップするけど、デメリットがあったような……?

しばらく機敏に動いていたクソジジイだが、

10秒程経過した後、仰向けに倒れて死亡した。

死んだのだが。
あ、思い出した!

派手に動いた後に儚く命が散るんだった。

まるで線香花火のように。

無駄に詩的な表現してんじゃねーよ!

あれ、そういえばセーブポイントって……。

クソジジイは人間の町で復活した。
がぁぁああああ!

またここからやり直しじゃねーか!

俺の2時間半んぁあああああああ!!

……ごめん。


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登場人物紹介

【七 茂夏(なな しげなつ)】

通称なっさん。

色々なゲームをプレイして遊んでるゲーマー。

その素顔は謎に満ちている。


市販のゲームは大抵遊び尽くしてしまう程暇を持て余しているが

別にニートというわけではないらしい。

ゲームは上手くプレイするより楽しんでプレイする派。


服や下着をよく盗まれ、

スマホに女の子の情報を登録すると消され、

お気に入りの夜のオカズを消される。

全て幼馴染である恵美の仕業。

色々と散々な目に遭わされている。


恵美の事はクレイジーな女だと思っており、

恐怖の対象であるが、何だかんだで一緒に遊ぶくらいには仲が良い。

【大文字 恵美(だいもんじ めぐみ)】

茂夏の幼馴染。

勝手に茂夏の家の合鍵を作り、

毎日のように茂夏の部屋に不法侵入している。

当たり前のように茂夏のパンツや靴下を持っていき、

コレクションとして自分の部屋にお持ち帰りしている。

色々と危ない。


独特の感性を持っており、

「なっさんの顔はとてもチャーミング」と思っている。


将来、茂夏の嫁になるために

茂夏の彼女になりそうな女を片っ端から調べて

徹底的にそのフラグをへし折っている。


茂夏の両親には既に『とても出来た女の子』と思わせており、

外堀は埋め終わっている模様。

じわりじわりと茂夏の背後から迫っており、

その背を捕らえるのはもはや秒読み段階。

ある意味ホラー。将来の山姥候補。

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