その2 キャラ登録

文字数 1,003文字

僅か一日で俺の秘蔵コレクションが消滅したその日。

恵美によって半ば強制的にゲームをやらされる羽目になった。

ああ、クソッタレ。

こんな事なら、あのフォルダの中身を

バックアップしておくべきだった……迂闊な。

バックアップしても

そのバックアップごと轢殺するから大丈夫。

轢殺ってお前。

まあいい、ログインできたぞ。

とりあえずキャラクターを作ればいいんだよな?

うん。

このゲームは、3種類の種族から1つの種族を選ぶ所から始まるよ。

なるほど、最初は種族選びからか。

まあ、MMOではメジャーなタイプだな。

どれ、どんな種族があるか見てみるか。

【人間】

この世界で一番多い種族です。

ボーナス能力値がバランスよく上がります。

特徴がないのが特徴です。

まずはスタンダードに人間か。

よくあるタイプだな。

【山】

魔法が得意な種族。

MAGが多く上がりますが、STRやVITが伸びにくいです。

なんだこれ!?

えっ。

なっさん、山を知らないの?

ほら、この窓から見えるあの……。

そういう意味じゃねーよ!!

なんだよ山って!そもそも生物じゃねーだろ!

【クソジジイ】

余生僅かのおじいさんです。

STRの伸びが大きく、INTの伸びが悪いです。

そのほかのステータスも伸びにムラがあります。

上級者向けの種族です。

上級者向けすぎるだろ!


老衰ですぐ死ぬからね。

確かに最初はこの種族はオススメしないかな。

色々と大変な目に遭うみたい。

いや、ちょっと待て。

種族……この3つなのか?

うん、そうだよ。

最初は無難に山か人間を選ぶといいかな。

いや待て……。

山はまあ……色々おかしいがわからんでもない。

だがクソジジイってなんだ。

もはや種族とか以前にただの悪口だろ。

まあ、ゲームはこのくらい

ぶっ飛んでたほうが面白いじゃん?

他のゲームにはない特徴ってやつだよ。

ぶっ飛び過ぎなのもどうかと思うがな……。

じゃあ、今回はクソジジイにしてみるか。

あれだけの反応しておいて

クソジジイ選ぶんかい!

え?

いや、だって……一番面白そうだし……。


……あれ?

キャラメイク画面すっ飛んでいきなり始まったぞ。

クソジジイにキャラメイクなんてあるわけないじゃん。

どうせ見た目なんて大して変わらないし。

酷い言い草だな……。

確かにジジイのキャラメイクをしても虚しいが。

って、名前もクソジジイかい。

こうして俺のキャラ名はクソジジイに決定した。

無難に人間を選んでおけばよかったと少し後悔するが、

少しどころか、後に盛大に後悔する事になる。

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登場人物紹介

【七 茂夏(なな しげなつ)】

通称なっさん。

色々なゲームをプレイして遊んでるゲーマー。

その素顔は謎に満ちている。


市販のゲームは大抵遊び尽くしてしまう程暇を持て余しているが

別にニートというわけではないらしい。

ゲームは上手くプレイするより楽しんでプレイする派。


服や下着をよく盗まれ、

スマホに女の子の情報を登録すると消され、

お気に入りの夜のオカズを消される。

全て幼馴染である恵美の仕業。

色々と散々な目に遭わされている。


恵美の事はクレイジーな女だと思っており、

恐怖の対象であるが、何だかんだで一緒に遊ぶくらいには仲が良い。

【大文字 恵美(だいもんじ めぐみ)】

茂夏の幼馴染。

勝手に茂夏の家の合鍵を作り、

毎日のように茂夏の部屋に不法侵入している。

当たり前のように茂夏のパンツや靴下を持っていき、

コレクションとして自分の部屋にお持ち帰りしている。

色々と危ない。


独特の感性を持っており、

「なっさんの顔はとてもチャーミング」と思っている。


将来、茂夏の嫁になるために

茂夏の彼女になりそうな女を片っ端から調べて

徹底的にそのフラグをへし折っている。


茂夏の両親には既に『とても出来た女の子』と思わせており、

外堀は埋め終わっている模様。

じわりじわりと茂夏の背後から迫っており、

その背を捕らえるのはもはや秒読み段階。

ある意味ホラー。将来の山姥候補。

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