第27話 大統領官邸のロム
文字数 1,110文字
そうだ、そうだ、そうだ。
世界の武器を全部買うらしい。一週間戦闘を止めよ、らしい。それに褒美はたんまり弾むらしい。
大統領官邸に住む犬のロムも、オウムのドキロも、心臓バクバクだった。
ガールズバンド“ミッチェリアル”がアメリカ公演の初日を昨晩成功させた。料理人の若いダンクが熱狂的なファンで、さっき休憩中にTikTokを見ていたのだ。彼はファンだから、12回も再生させて、一緒に休憩していたメンバーに流石にからかわれて、そこで再生をやめた。
俺は聞いた。ドキロもな。
俺たちは十二回も聞いた。口をあんぐり開けて、TikTokの動画の中で言われていた伝言を聞いた。頭の中でその言葉がぐるぐる回っている。強烈なメッセージだった。俺たちに金はいらない。でも、助けたい仲間はいる。俺とドキロは困っていないが、困っている奴は他に大勢いる。
うちの大統領は、アホなことをしている。それは全員がわかっていると思うが?
でも、人間には止められない。だが、俺たちは?俺たちも止められないか?
いやいや、そんなことはないぜ。俺たちがやったと分からずに、秘密にことを止める方法を俺はいくらでも考えつくぜ。
あっちの大統領のところにも、確か犬がいるはずだ。
1回、テレビ会議でかわい子ちゃんが映ったことがある。
それからあっちの大統領んちにも、おっかない奴がいた。
俺が知っている限り、世界中の大統領んちか副大統領んちには、犬か猫は必ずいる。他のペットもいる。
いやいや、俺たちだけがこのメッセージを聞いたか?
いや、そんなことはないだろう。ダンクによれば、このバンドは今一番ホットらしい。
ああ、あの武器商人みたいな輩のところにも、なんかフェレットみたいな奴がいたなあ。
おおーい、みんな聞いたか?
って俺の声は絶対みんなには届かない。だって、数千キロは離れた国々の大統領官邸や、武器商人の秘密の邸宅にいるからな。
俺の声に休憩室にいた料理人たちは、俺の吠え声にびっくりして、反応した。
「ロム、どうした?何かいたのか?」
違う、違う、人間どもに聞かせたい声じゃない。
うまい方法を考えないと。
「ドキロ、分かっている。」
オウムが鳥籠から言ってくれた。
そうそう、お前は分かってくれるよな。俺は尻尾を静かにふって、オウムにサンキュと合図した。
いや、待てよ。もう、号令がかかったのだから、俺が連絡を取る必要はないのか?
俺は鳥籠の中のドキロを見つめた。
「分かっているぜ、相棒。」
ドキロは鳥籠の中から言ってくれた。
何も分かっていない料理人たちは、その言葉にどっと笑った。
笑っていられるのは今のうちだぜ。
俺は心の中でほくそ笑んだ。
世界の武器を全部買うらしい。一週間戦闘を止めよ、らしい。それに褒美はたんまり弾むらしい。
大統領官邸に住む犬のロムも、オウムのドキロも、心臓バクバクだった。
ガールズバンド“ミッチェリアル”がアメリカ公演の初日を昨晩成功させた。料理人の若いダンクが熱狂的なファンで、さっき休憩中にTikTokを見ていたのだ。彼はファンだから、12回も再生させて、一緒に休憩していたメンバーに流石にからかわれて、そこで再生をやめた。
俺は聞いた。ドキロもな。
俺たちは十二回も聞いた。口をあんぐり開けて、TikTokの動画の中で言われていた伝言を聞いた。頭の中でその言葉がぐるぐる回っている。強烈なメッセージだった。俺たちに金はいらない。でも、助けたい仲間はいる。俺とドキロは困っていないが、困っている奴は他に大勢いる。
うちの大統領は、アホなことをしている。それは全員がわかっていると思うが?
でも、人間には止められない。だが、俺たちは?俺たちも止められないか?
いやいや、そんなことはないぜ。俺たちがやったと分からずに、秘密にことを止める方法を俺はいくらでも考えつくぜ。
あっちの大統領のところにも、確か犬がいるはずだ。
1回、テレビ会議でかわい子ちゃんが映ったことがある。
それからあっちの大統領んちにも、おっかない奴がいた。
俺が知っている限り、世界中の大統領んちか副大統領んちには、犬か猫は必ずいる。他のペットもいる。
いやいや、俺たちだけがこのメッセージを聞いたか?
いや、そんなことはないだろう。ダンクによれば、このバンドは今一番ホットらしい。
ああ、あの武器商人みたいな輩のところにも、なんかフェレットみたいな奴がいたなあ。
おおーい、みんな聞いたか?
って俺の声は絶対みんなには届かない。だって、数千キロは離れた国々の大統領官邸や、武器商人の秘密の邸宅にいるからな。
俺の声に休憩室にいた料理人たちは、俺の吠え声にびっくりして、反応した。
「ロム、どうした?何かいたのか?」
違う、違う、人間どもに聞かせたい声じゃない。
うまい方法を考えないと。
「ドキロ、分かっている。」
オウムが鳥籠から言ってくれた。
そうそう、お前は分かってくれるよな。俺は尻尾を静かにふって、オウムにサンキュと合図した。
いや、待てよ。もう、号令がかかったのだから、俺が連絡を取る必要はないのか?
俺は鳥籠の中のドキロを見つめた。
「分かっているぜ、相棒。」
ドキロは鳥籠の中から言ってくれた。
何も分かっていない料理人たちは、その言葉にどっと笑った。
笑っていられるのは今のうちだぜ。
俺は心の中でほくそ笑んだ。