『優しさの連鎖』

文字数 321文字

小さい子供が、ぬいぐるみを大事そうに抱えていた。何度も撫でて、名前を呼んで…優しい笑顔をしていた。近くにいた母親の笑顔と、よく似ていた。
「いいこだね~っ、よしよ~し…」

…ああ、この子はきっと、母親からもこんな風に愛情を受けて、それを自分の大切な子にも与えているんだな、と思った。優しくされたから、自分も誰かに優しくする。僕にはそれが、できているだろうか。薄情な僕は、優しくされたことを素直に受け取らないで、苦しめられたことだけ覚えてしまう。でも、それだけ苦しみは強い力を持っている...よな。僕もきっと、幼い頃はなにかを愛していた。

優しい笑顔を浮かべる子供が、苦しみに吞まれないように願いながら、苦しむ僕は僕から、優しさを始められたらいいな。
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