『名前をあげる』

文字数 228文字

なんだろう、この感じ。
楽しそうなひとの、楽しそうな話の中にその名前が挙がると、棘を触られたように痛む感じ。その痛みがまた記憶されて、しばらく彷徨って、やがて心の底に沈んでいく感じ。次に触れられたとき、新しい痛みと一緒にまた静かにいきり立つ感じ。

ただ名前が、この感情を認識している証と、自分の一部として扱う資格が、ほしかった。


探して、探して、ふと考えて。思ったより近くの、見ないふりしていた影にそれを見つけて、

私はこの感情たちに、“嫌い”という名前をあげた。
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