第6話

文字数 374文字

が、俺も聖人ではない。冷静さを欠くこともある。
「レシピが分かりません」
デザートを作るポジションにいるロボットから、そのようなエラーが出た。
「さっき俺がデザートレシピのメモリを差し込んだろ? 検索すれば出てくるはずだ」
俺は開店前、レシピのメモリをその新人ロボットの専用スロットに差したのだが、レシピが見つからないといっている。
「どうしたらいいですか」
このAIロボットはなぜか性別設定がある。男性モードだと力仕事は得意らしいが、その代わり時々こういう鈍臭いのがいる。
俺は苛立って、キッチンに入った。とっさにロボットに差し込んであるメモリを抜き差ししようとすると、ピーピーと警告音を発した。
「無理に引き抜くとメモリ内のデータが壊れることがあります」
「は? お前の電子回路が既に壊れてんじゃないのか?」
「言っている意味が分かりません!」
彼は語気を荒らげた。




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