第11話

文字数 617文字

客の帰る際、会計は無人レジコーナーか、ホールロボットによって盆の上に表示される3Dコードによるキャッシュレス決済となるケースが今は主流だ。
客も店側も利用金額を改めて打ち込む必要もなく、非常にスマートに会計を済ませられる。
"スマート"のはずなのだが、たいていの客はいちいち料理の味と盛り付け、提供スピード、衛生的かどうかの三項目について100点満点で点数化して伝えてくる。
また、まともな味覚の持ち主と思えないが「非常に美味しかった」「おいしかった」「普通」「美味しくなかった」「クソ不味かった」のどれかで言ってくる。
この店は、レシピデータ通りにAIロボットが作った料理がアップされてくるから、味はほぼ均一で、クソ不味いなんてことはないはずであった。
穿った見方にはなるが、俺にストレスを与えてみて、それでもサービス力が維持できるかどうか評価しているのかもしれない。

それで総合点が一定の点数以上とならず、お気に召さないと客は「この店のレビュー情報がネットに載る可能性がある」と極めて事務的に脅してくる。
ただにしろ、と言われているのか、と初め俺は受け取り返金を申し出ていたが思い直した。
それでタダ飯目当てにクレーマーが集結する店になってはたまらないから「それはお客様にお任せいたします」とだけいうようにしたのだった。

ちなみに、クレームを申し立てた客のうち、実際にネットに苦情の書き込みをしたのがどれくらいいるのかは、現時点では把握していない。
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