1
文字数 663文字
目を覚ますと、見知らぬ部屋に居た。
辺りは真っ暗で、薄暗い。どうしてそんな場所にいるのか思い出そうとしたけど、思い出せなかった。
最後の記憶は、学校の帰り道。お守りを拾ったところだった。そのお守りには梵字のような文字が書いてあった。真っ赤なペンキみたいなものがべったりとついていて、私は思わず投げ捨てた。
その時、丁度トラックが通りがかって、お守りは潰れてしまった。私は気味が悪いとは思いながらもそのまま家へ帰った。
ううん、あり得ない。
それより、誰かにさらわれたんじゃないか。体をまさぐったが、制服に乱れがないし、おかしなところはなさそうだった。
そのことにほっとしつつ、これからどうしたらいいんだろうと思った。
暗がりに目が慣れてくると、そこは広い部屋だと分かった。
立ち上がり、少し歩いた。部屋の隅に、もう一人誰かが寝そべっていた。
警戒しながら近づいたが、セーラー服を着た女の子だと気づいて声をかけようと思った。
女の子は目を覚ました。髪は長くて、あどけない感じの可愛い子だった。私よりも年下かも知れない。
女の子は私を見ると、驚いたように体を反らした。
女の子はひどく狼狽していた。目を覚ましたら、真っ暗で知らない人が目の前に居たら、それは驚くだろう。
女の子は辺りを見回してから、首を左右に振った。