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文字数 502文字

「どうやら、私たちは何者かの意思によって、ここに閉じ込められたのかも知れないわね」
 と、その子は言った。
「何者かの意思ですか?」
「ええ、そうよ。私は霧崎まどか。よろしくね」
「私は宮本素子、それとこっちの子が、やよいちゃんです」
「月宮やよいです」
「何者かの意思と言いましたけど、まどかさんは、なんでこんなところに閉じ込められたのか知ってるんですか?」
「いいえ知らないわ。でも、何の接点もない別の場所に居る三人を、ここまで連れてくるだけでも大変だったはずだわ。ほとんどありえないくらい。意志というのはそういうことよ」
「やっぱり、誘拐なんでしょうか?」
 まどかさんの自信ありげな態度に、何か知ってるのかも知れないと思い、期待して尋ねる。
「分からないわ」
 という答えに、私は少しがっかりした。
「せ、接点ならあります」
 やよいちゃんは躊躇いがちに言った。
「何かしら?」
とまどかさん。
「みんなお守りを手に入れました」
「お守りが私たちをここまで連れてきたとでもいうのかしら?」
「それは……」
「まあ、いいじゃないですか。誰が閉じ込めたにせよ、ここから脱出するだけです。まどかさんも一緒に来てくれますよね?」
「構わないわ」
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登場人物紹介

【宮本素子(みやもともとこ)】16歳
責任感が強く、面倒見がいい少女

【月宮(つきみや)やよい】14歳
気が弱くて、守ってあげたくなるような女の子

【霧崎(きりさき)まどか】17歳
理知的な雰囲気の少女

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