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文字数 562文字

 その部屋は、隣の部屋に比べれば明るいというだけで、やっぱり薄暗かった。


 赤い光が漏れていると思ったのは、その部屋に飾られている真っ赤な不動明王のような像と、ろうそく、それに無数の彼岸花が並んでいるためだった。


 私もやよいちゃんもその光景に、すっかり言葉を失っていた。


 私は、赤い像の前にセーラ服を着た女の子が倒れているのを見つけた。

「誰かいるわ」
「ち、近づいても、大丈夫でしょうか?」
「きっと、私たちと同じ攫われてきた人よ」
 私はその女子生徒の側まで寄ると、揺り動かした。
「あの、大丈夫ですか?」

 女の子が目を覚ました。


 大人びた綺麗な顔立ちをした子だった。私よりも年上かも知れない。


 その子は私たちを見ても驚いた様子を見せなかった。

「あなたたちは?」
 いきさつを説明した。
「そう。そのお守りって、もしかしてこれのことかしら?」
 そう言うと、その子は、右手を開いて見せた。
 そこには、例のお守りが握られていた。
「そのお守りです!」
「は、はい、それです」

 私たちは興奮したように言ったが、その後、重苦しい沈黙が降りた。


 奇妙なまでの符号に、いわく言い難い不安を覚えたのだ。

 それに、その時の私は気が付かなかった。

 その子の持っていたお守りには、なぜか私のお守りと違って、べっとりとした赤いものがついていなかったということに。

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登場人物紹介

【宮本素子(みやもともとこ)】16歳
責任感が強く、面倒見がいい少女

【月宮(つきみや)やよい】14歳
気が弱くて、守ってあげたくなるような女の子

【霧崎(きりさき)まどか】17歳
理知的な雰囲気の少女

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