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文字数 562文字
その部屋は、隣の部屋に比べれば明るいというだけで、やっぱり薄暗かった。
赤い光が漏れていると思ったのは、その部屋に飾られている真っ赤な不動明王のような像と、ろうそく、それに無数の彼岸花が並んでいるためだった。
私もやよいちゃんもその光景に、すっかり言葉を失っていた。
私は、赤い像の前にセーラ服を着た女の子が倒れているのを見つけた。
私はその女子生徒の側まで寄ると、揺り動かした。
女の子が目を覚ました。
大人びた綺麗な顔立ちをした子だった。私よりも年上かも知れない。
その子は私たちを見ても驚いた様子を見せなかった。
いきさつを説明した。
そう言うと、その子は、右手を開いて見せた。
そこには、例のお守りが握られていた。
そこには、例のお守りが握られていた。
私たちは興奮したように言ったが、その後、重苦しい沈黙が降りた。
奇妙なまでの符号に、いわく言い難い不安を覚えたのだ。
それに、その時の私は気が付かなかった。
その子の持っていたお守りには、なぜか私のお守りと違って、べっとりとした赤いものがついていなかったということに。