3
文字数 389文字
私たちは何者かに攫われてきたということで意見を一致させた。
誰が何のためにどうやって。疑問はあったが、それ以外にこの状況を上手く説明できなかったのだ。
その何者かは、私たちのことを縄とかで縛り付けたりはしなかった。
そんなことをしなくても、ここから出ることはできないとでもいいたのだろうか。
ともあれ、この建物から脱出しようということになった。
やよいちゃんと手分けして、部屋を探った。
部屋には窓が一つもついてないのが分かった。
薄暗いのはそのせいで、むしろ薄っすらと明るいのは、隣の部屋から漏れてくる明かりのためだった。
隣の部屋から赤い光が漏れていた。
私たちはその扉の前に立った。
ドアノブに近寄るとそっと回してみた。
あっけなく開いた。
ゆっくりと扉を開き、向こうの部屋の様子を窺う。人の気配はなさそうだった。
私の制服の裾を掴むやよいちゃんに告げた。