ゼロ部隊の訪問

文字数 1,588文字

休暇

ここは幻想郷。
いつも通りの日常が流れる。

ジェイ「…っと」
不気味なスキマを通り抜け、幻想郷へやってきた。
…早速困ったことが。
ジェイ「…ここどこだ?!
せっかく休暇をもらって遊びに来たというのに・・・!
ジェイ「くっそ…こうなるんだったらファイナルとここで待ち合わせるんだった…っ!」
ああああどうすればいい…?
とりあえず人里ということは分かる。
だが人里のどこにいるのかさっぱりわからない!
まさかここで迷子になるとは思わなかった…
何か…なにか目印のようなもの…
えーっとまず店だろ?
そんで…
ジェイ「なぁんもねぇじゃねぇか!!」
???「うるさぁい!!」
ジェイ「!??!」
???「人がせっかくおいしいもの食べてるのに大声出さないでよ!」
ジェイ「いや…それはすまん」
…帽子の間からわずかにウサギの耳のようなものが見える。
ははーん?
さては人間じゃないな?
???「それで?何か困ってるんでしょ?」
ジェイ「なぜわかった?!」
???「きょどーふしんだったんだよ!さっきの君!」
否定できない…!
「…はぁ。とりあえず自己紹介だけするね。私は鈴瑚(りんご)。君は?見た感じ

住人ではなさそうだけど」
ジェイ「ああ…俺はジェイ。竜の国って場所でいろいろやってる」
鈴瑚「へぇ。まぁ深くは聞かないよ」
ジェイ「ん、そうか。」
鈴瑚「それで、どこに行きたいの?」
ジェイ「あぁ、そうだった…『白玉楼(はくぎょくろう)』ってところを知らないか?」
鈴瑚「…あそこの旦那に用があるの?」
ジェイ「ん?ファイナルのことか?」
鈴瑚「…へえ。そんな名前なんだ」
ジェイ「てか知ってんのな」
鈴瑚「…人里だと、名は知れてるからね」
ジェイ「…ほう?まぁいいか…白玉楼まで案内してくれないか?」
鈴瑚「いいよー」

案内役

鈴瑚「それじゃあ、ちゃんとついてきてね」
ジェイ「わかってるぜ」
人里の中をすいすいと歩いていく。
なんとか道を覚えなければ…また恥をかいてしまう…
必死にまわりの景色を頭に叩き込み、鈴瑚についていく。
しばらくすると人里を抜けた。
そのあとの道はとても簡単で助かった。

鈴瑚「…もうちょっとだよ」
少し肌寒い感覚。
前に何度か味わった感覚だ。
あいつの声が聞こえる。
鈴瑚「…もういい?」
ジェイ「ああ、もう十分だ。ありがとな!」
階段を駆け上がる。
ジェイ「ファイナル!待たせたな!」
ファイナル「…遅い。お前道草食ってたろ」
ジェイ「い、いやぁ…?」
ファイナル「まあいい。どうせ今日もあれだろ。世間話だろ」
ジェイ「正解!」
ファイナル「ほかにないのかよ…」
ジェイ「ないな!」
ファイナル「…断言してほしくなかったな」
~数時間後~
ジェイ「…そろそろ帰るぜ。あんがとなー」
ファイナル「帰り道、気をつけろよ…」
ジェイ「んなガキじゃねぇよ」
白玉楼の階段を降りていく。
ファイナルが見えなくなるのとほぼ同時に、鈴瑚が出迎えてくれた。
鈴瑚「そろそろ来ると思ってさ。待ってたんだよ」
ジェイ「そうか…待ったか?」
鈴瑚「…全然。さ、案内するよー」

~道中~
鈴瑚「…」
ジェイ「…?」
さっきからやけにくっついてくる。
悪い気はしないが…どんな反応をしたらいいのかわからない。
鈴瑚「…♪」ギュッ
ジェイ「…!?」
鈴瑚「…ダメ?」
ジェイ「…大丈夫だぜ」
鈴瑚「ありがと…♪」

きっとすぐに
…最初の場所に戻ってきた。
鈴瑚がすこし悲しそうな顔をする。
──それを見て、俺は──
─鈴瑚の唇に、そっと自分の唇を重ねていた。
鈴瑚「…!」
ジェイ「またすぐに会える。きっとな。」
鈴瑚「ジェイ…!」
抱きつく。
今、この腕を離したら、この人が遠いどこかに行ってしまいそうで。
─離したくない。
自分でも気付かぬうちに恋に落ちてしまった。
せめて最後に、言いたい─
鈴瑚「—君が好き。だから…ま」
ジェイ「また会いに来る。絶対だ」
そう言って強く抱きしめ、スキマの中へと歩く。


ジェイ「─きっとすぐ、会いに行く。」
つぶやくように言い、にっこりと笑う。

続く
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