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文字数 632文字

「おお、気が付いたか」
目を開けるとおじいちゃんがいた。
ほんとうに会えた。
「大丈夫か?」
おじいちゃんは ぼくの額に手をあてて、そっと前髪をどけてくれた。
「痛いところはない?」
おばあちゃんもいる。
「ワン・ワン」
シロもいる。
「シロがお前の居場所を教えてくれたんだよ」
シロはぼくの顔を舐める。
すごく くすぐったくて、笑ってしまった。
ぼくの笑う顔を見て おじいちゃんとおばあちゃんの顔にも 笑顔が浮かんだ。
起き上がって周りを見渡すけれど、ここはおじいちゃんのお家。
ぼくは戻ってきた。
だけど、みんながいない。
夢だったのかな。
でも、夢だったって思いたくない。
皆とは少しの時間しか一緒じゃなかったけど、なんだか淋しい気持ちで一杯になる。
ぼくはおじいちゃんにお願いした。
「おじいちゃん、さっきはごめんなさい。ぼく星が見たい」
「え?」
「見に行こうよ」
「しかし、今は無理しない方が」
「どこも痛くないよ、大丈夫だよ。ね、ぼく星が見たい」
おじいちゃんはぼくに微笑むと「わかったよ」と言って準備をしてくれた。
懐中電灯を片手に、ぼくはおじいちゃんとシロと歩く。
おじいちゃんは ぼくの手をずっと握っていてくれた。
歩いている途中、ぼくはあることに気付く。
この道は ―――
「ほら、到着だよ」
そこにはみんなで行ったあの原っぱが、同じままの状態で広がっていた。
二人並んで寝転がり 夜空を見る。
あのガキ大将と見た星空そのままだ。
おじいちゃんは シワシワの顔をぼくに近付けてこう言った。
「サプライズ、だろ?」
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