第八話 結
文字数 803文字
騒動から二日ほど経過したある日の早朝、突然東川仙相から着信があった。
3コールで出る。
「お久しぶり。電話大丈夫なのか?」
「ああ。今は自宅なんでね。問題ない」
東川仙相。探偵会の中で唯一俺より年齢が上だが、同期である。彼は盲目にも関わらず、数々の難事件を解決に導いてきた。頭脳だけで言えば、おそらく彼の右に出る者は探偵会の中にも一人いるかいないかだろう。例によってこの人も変人だが、詳しい説明は割愛する。
ところで、と彼は早速本題を切り出してきた。
「風の噂で聞いた。CSSに喧嘩売ったんだって?探偵会とCSSの全面戦争だって、裏の世界じゃ囁かれてるぞ」
「もうそこまで話が大きくなっているのか」
驚きはしたが、しかしさして焦る気持ちは湧いてこなかった。
「何したらそんな馬鹿な真似ができるんだ。お前」
からかうような彼の口調からも、不安の色は感じられない。
俺は彼の調子に合わせ、格好つけて答えた。
「女の子一人助けようとしただけだ。咎められるのは納得いかないね」
「はん。このロリコンが」
「ロリコンじゃない。殺すぞ」
「怖えよ。ロリコンいじりへのヘイトが高すぎるだろ」
じゃ明日の夜、対CSSの作戦会議するからと言い残し、彼は電話を切った。
作戦会議ね。どうせただの飲み会になるだろうが。
さて、と俺は今日の予定を確認した。10時から依頼の予約が入っていて、15時からは警察の事情聴取に協力、と。
やれやれ。
所詮何をほざこうと、きつい現実は変わらないし毎日体は疲れ切って心は折れそうで、良いことなんて悪いことの10分の1くらいしかなくて。
それでもまあ、精々死ぬまで頑張ってみるとするか。
ドアが開く音がした。気付けば既に時計は10時を回っていた。
俺は営業スマイルを作り、言った。
「こんにちは。欠掛心理探偵事務所です。本日はご依頼の相談を頂きまして、誠にありがとうございます」
俺は欠掛ずぼら。
明日も探偵だ。
3コールで出る。
「お久しぶり。電話大丈夫なのか?」
「ああ。今は自宅なんでね。問題ない」
東川仙相。探偵会の中で唯一俺より年齢が上だが、同期である。彼は盲目にも関わらず、数々の難事件を解決に導いてきた。頭脳だけで言えば、おそらく彼の右に出る者は探偵会の中にも一人いるかいないかだろう。例によってこの人も変人だが、詳しい説明は割愛する。
ところで、と彼は早速本題を切り出してきた。
「風の噂で聞いた。CSSに喧嘩売ったんだって?探偵会とCSSの全面戦争だって、裏の世界じゃ囁かれてるぞ」
「もうそこまで話が大きくなっているのか」
驚きはしたが、しかしさして焦る気持ちは湧いてこなかった。
「何したらそんな馬鹿な真似ができるんだ。お前」
からかうような彼の口調からも、不安の色は感じられない。
俺は彼の調子に合わせ、格好つけて答えた。
「女の子一人助けようとしただけだ。咎められるのは納得いかないね」
「はん。このロリコンが」
「ロリコンじゃない。殺すぞ」
「怖えよ。ロリコンいじりへのヘイトが高すぎるだろ」
じゃ明日の夜、対CSSの作戦会議するからと言い残し、彼は電話を切った。
作戦会議ね。どうせただの飲み会になるだろうが。
さて、と俺は今日の予定を確認した。10時から依頼の予約が入っていて、15時からは警察の事情聴取に協力、と。
やれやれ。
所詮何をほざこうと、きつい現実は変わらないし毎日体は疲れ切って心は折れそうで、良いことなんて悪いことの10分の1くらいしかなくて。
それでもまあ、精々死ぬまで頑張ってみるとするか。
ドアが開く音がした。気付けば既に時計は10時を回っていた。
俺は営業スマイルを作り、言った。
「こんにちは。欠掛心理探偵事務所です。本日はご依頼の相談を頂きまして、誠にありがとうございます」
俺は欠掛ずぼら。
明日も探偵だ。