第7話【童話とアニメ絵①~何を大切にすべき?~】

文字数 1,858文字

前回、ようやく"シンデレラ"で本編(?)がスタートしたばかりなのですが、早速の脱線です。

今回考えたのは、"童話イラストのアニメ絵化"についてです。
第2話の中で、「幼い子どもにとってはポップなイラストで簡易的なストーリーの方が、童話の入口としては向いている」と、肯定的な事を述べたのですが、本心では「でもなぁ…」と異を唱える自分もいます。
ちょっと調べたところによると、童話のアニメ絵化(萌え絵ともいうらしいです)論争は、少し前にも起きていたようです。
童話のイラストがアニメのようになり過ぎて、子どもにとって良くないのではないか、と。
この論争には賛否両論あるようで、お互いに言い分があり、どちらも納得できる部分があると思いました。僕自信、「幼い子には向いている」と「でもなぁ」の両方の感情を持っているので。

反対派の方の想いもわかります。
童話のイラストがあまりにキラキラし過ぎていると、童話の持つ"おごそかさ?"というか、"大事に扱わなきゃ感?"というか、"昔々から伝承されてきたものだよね感"を損なってしまうのではないかという感覚でしょうか。特に日本人は、"品"や"伝統"を大事にしたい傾向にあると思うので、例えば"シンデレラ"がキラキラしているのはまだ大目に見れても、"かぐや姫"がキラキラしているのは違うでしょう、と思う方もいらっしゃるかもしれません。僕自信、そう考える部分が確かに心の根っこにはあります。

賛成派の方の想いもわかります。
人気の画風は時代の流れとともにどんどん変わっていくでしょうし、その結果、今の日本では"アニメ絵テイストの画風"が好まれ、人気が出る時代になったということなのでしょう。
いつまでも昔の画風のままで童話を出版し続けることは難しいでしょうし、きっと今の"アニメ絵"があらゆるメディアで流行している時代に育った子ども達にとっては、昔の画風が魅力的に映らないのも仕方がないのかもしれません。今の時代の子ども達にも興味を持って、自ら童話を手にとってもらうためには、やはり時代に沿った人気の画風が必要なのだと思います。そうすることで、童話を今の時代の子ども達に引き継ぐことができるのですから。

だから結局、お前はどっち派なんだよと…。イライラされる方もいらっしゃるかと思いますが、僕自信、未だにその狭間で揺れているので答えは出ておりません。
"童話の品を大切にしたい反対派"
"童話を伝承を大切にしたい賛成派"
自分の心の中でも、こんな感じの派閥争いが起きている感じです。
第3話でも触れましたが、「大人が子どもの世界を作ってる」結果が、このような現象に繋がっているのだと思います。
意見は様々あるでしょうが、どの大人達も根底にある想いは一緒のはずです。「子ども達に童話を伝えたい」ただ、その中で童話の何を一番大切にするべきなのか、そこが違ってくることでこのような論争が起こるのではないでしょうか。

あなたが童話でもっとも大切にしたいことは何ですか?

ストーリーにワクワクすること?
イラストに胸を踊らせること?
次の世代に語り継いでいくこと?
どうとらえるかは子ども達の自由です。きっと正解はないでしょう。それでも、僕たち、大人側の"伝え方"次第で、何かが変わってしまう可能性もあるのではないでしょうか。
皆さんも是非、本屋さんに足を運んだ際は、童話コーナーで立ち止まってみてください。
表紙のイラストを見たとき、一番最初に抱いた感情は何ですか?それがきっと、あなたが童話で大切にしたいことを教えてくれるヒントになると思います。

今回もややこしく考え過ぎですか?
僕は頑固だと周りからよく言われますが、同時にとても影響されやすい性格でもあります。最初は否定的だったアニメ絵も、自分が納得できる理由を知ったことで肯定的に見直すことができてしまいます。つまり、優柔不断なのです。
「童話のアニメ絵にはまだちょっと抵抗あるけど、今の子ども達に受け継ぐためには仕方ないんだよなぁ」
これが、今の僕の中途半端な立ち位置です。
いつか全てを納得して、前向きに今の童話を手に取ることができるのだろうか…。そんなことを考えている、今日この頃です。

次回は、童話から少し話は逸れますが「漫画で読む◯◯」というジャンルの本について考えてみたいと思います。
「子どもに手にとってもらうための童話のアニメ絵化」と「子どもに手にとってもらうためのの名作の漫画化」は、作品を後世に受け継ぐための大人側の作戦という意味では同じなのではないでしょうか?

つづく…。
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