第5話【おじさんにも将来の夢はある②~童話化されている現代の名作~】

文字数 2,833文字

前回から「童話化したい」と連呼しておりますが、どうして僕がそこまで童話化に憧れるのか、今回はその理由から説明したいと思います。

前回、僕が考える童話化とは"童話のように親子で共感でき、永く愛される物語になること"と述べさせていただきました。
その際は述べておりませんでしたが、僕が考える童話化の為には、もう一つ条件があります。それは、"より多くの人に知られている"ということです。
では、なぜ多くの人に知られる必要があるのか、その理由を述べたいと思いますが、ここからまた屁理屈が始まります。
「"◯◯"って知ってる?」
「知ってるよ」
そんな会話が通じる人が多ければ多い程、その物語は"実在しないのに存在する"ということになると思うからです。意味がわからないですよね……。
例えば、『シンデレラ』と『ツンデレダ』という2つの物語があるとします。どちらも実話ではなく、人により作られた物語とします。
全人口100万人の国があるとして、その国で『シンデレラ』を知っている人が80万人。『ツンデレダ』を知っている人が1万人だったとします。
この場合、全人口の8割が知っている『シンデレラ』は、国中に知らない人が殆ど居ないため"世の中に当たり前のように存在する物語"と言っても良いと思います。これが、"実在しないのに存在する"ということだと考えます。
シンデレラなんて女性は実在しないのに、彼女が経験した不思議な物語は、誰もが知っている事実となる。それはつまり、実在するも同然ではないかと。
これを自分の夢に置き換えると 、物語がより多くの人に知られる事によって、実在するかのように当たり前の存在となる。生まれたばかりの頃は誰も知らない物語が、いつか誰もが知っている物語になる。作者として、こんなに嬉しいことはないと思います。
僕が童話化に憧れる最大の理由は、自分が生み出した物語を現実化したいからです。
逆の言い方をすると、物語を現実化させたいから童話化を目指している。ということになります。

①親子で共感できる
②永く愛される
③多くの人に知られる

以上の3つが、僕が勝手に考えた童話化の条件となります。

現在、僕達が童話として触れている物語は、どれも数十年から数百年も昔に作られた物語です。物語ができた当時の評価はわかりませんが、長い年月をかけて人々の生活に浸透していったもの思われます。
そう考えると、物語の童話化には相応の時間の経過も必要になる事がわかります。
しかも、僕がこだわる"①親子で共感できる"をクリアするためには、少なくとも30年はかかるということになります。(※しかもこれは世に出たと同時にヒットした場合に限ります)
自分で設定しておいてなんですが、かなり厳しい条件です。最短でも30年後。僕はアラウンド70になっています。ギリギリ「ひょっとして童話化したんじゃないかなぁ?」と実感できる元気があるかないか。それでも生きているうちにそう実感できたら、御の字と言えるでしょう。

と、こんな風に制限時間ギリギリの僕に淡い期待を持たせてくれるのは、現代の作品に童話化を感じさせる物語があるからです。
ここからは、上の3つの条件を満たし童話化されたと僕が勝手に思っている、現代の名作について述べたいと思います。
ちなみに、3つの条件を満たしているという判断基準は人によって違います。完全に僕の個人的な意見なので、異論も多々あるかと思いますが、今回もおじさんの戯れ言なので、多めにみてください。早い話が、僕が憧れている物語です。

まずは映画です。
約30年前に日本の有名な某アニメスタジオが製作、公開した『ある姉妹と不思議な生き物の夏物語』です。
きっと皆さんもご存知だと思います。名作過ぎて、この場で取り上げさせて頂くことすら恐縮です。
僕は子どもの頃からあの物語が大好きでした。テレビ放送したものを録画して、何十回も観ました。登場する女の子の名前は、娘の名前の最終候補まで残りました。
あの物語は(恐らく)実話ではありません。偉大な某監督が、この世に生み出した物語です。フィクションの物語ですが、製作されてから約30年経った今でも大人からも子どもからも愛され、夏になれば毎年のようにテレビで放送します。もちろん僕の子ども達も知っています。
余談ではありますが、子どもの頃に何十回も観て、一度も泣いたことがなかったのですが、大人になってから観た時、某有名なシーンで涙がこぼれました。大人になって、子どもの頃とは違った目線で観た時、違った心の震え方をしたのです。改めてこの物語の持つ不思議な魅力に驚かされました。
「ねぇ、『ある姉妹と不思議な生き物の夏物語』って知ってる?」
「もちろん。有名じゃん」
きっと、この会話も余裕で成立するでしょう。まさにあの物語こそ、僕が憧れる童話化(映像化)そのものです。

次に漫画です。
約50年前に連載開始となった『未来からやって来た猫型ロボットの物語』です。この作品もまた説明は不要でしょう。こちらも偉大な某漫画家先生の名作です。
原作は漫画ですが、今ではアニメーションの方が有名かもしれません。基本的に一話完結ですが、作品の中では最終回(のようなもの)も描かれており、物語としてもきちんと成り立った名作です。
あの物語もまた、フィクションでありますが、誰もが"主人公のメガネ少年"がどんな少年なのかを知っていると思いますし、周りにどんな友達がいて、猫型ロボットとどんな日々を送っているのかも想像できると思います。
僕が子どもの頃にも家に単行本がありましたし、息子が今丁度夢中になっていて、妻の実家から借りてきた単行本を読んだり、アニメも家族で一緒に観たりしています。
映画版は一緒に観て、一緒に号泣しました。大人になってからこんなに泣いたことはない位に泣きました。こんなに親子で共感できた物語は他にありません。それ位、僕にとっても幼い頃から胸に留まっていた物語なのだと思います。
「ねぇ、『未来からやって来た猫型ロボットの物語』って知ってる?」
「もちろん」
きっと、この物語もまた問題なくこの会話が成り立つでしょう。この作品も、僕の中では童話化(漫画化)した名作だと思っています。

このように、心が震えた2つの名作のお陰もあって、現代の作品でも童話化が実現可能であると、僕は勝手に考えました。
もちろん、その為には某監督、某漫画家先生のように絶え間のない努力が必要であることは間違いありません。うまくいけば、僕の人生の残り時間は約50年。"将来の夢"を叶える為に、おじさんはこれからも大好きな物語作りを一生懸命続けていきたいと思います。

ここまで長々と屁理屈だらけの夢を書きました。ようやく次回から、童話作品の話に入りたいと思います。
ここまで読んで下さった方に、心から感謝致します。誰にも言えなかった僕の夢を読んでくださって、本当にありがとうございました。
そんなことを考えている、今日この頃です。

つづく…。




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