第10話 殻炎と失敗作10号

文字数 893文字

殻炎(かくえん)は炎を纏い、戦況を眺めていた。

「お頭熱いっす」

トサカゴブリンが助けてぇと叫んでいる。

「うるさい。少しは堪えろ」

殻炎を纏う炎の温度は1000度。
トサカゴブリンにとっては近寄れない熱さである。

「熱いもんは熱いっす。太陽の光は暑くっても、お頭は熱いっす!」

「ほう。お前、俺に文句を言う力あんのか?」

殻炎の炎が一回り大きくなり、

トサカゴブリンを睨みつける。

「ひっ、ずんません」

腰を引くトサカゴブリン。

「チっ雑魚が!」

不機嫌そうに視線を戦場に戻す殻炎。

「・・しかし、ありゃナニモンだ。

ゴブリン連中は確かにそこまでは武装させていないが、

階級持ち赤以上の冒険者並みの基礎能力はあるはずだ、

近年赤以上の冒険者は現れていない筈だが・・・。

チッ情報が足りないか。

おい、失敗作・・

そういや、名前つけてなかったか。

・・あー面倒くさいから、10号。

お前は今から『10号』を名乗るが良い」

10号と呼ばれた瞬間。殻炎の目の前に身体に鉄の棒や、ガラス細工を刺した豚顔の巨人が現れた。

皮膚は人肌で、鉄の棒が刺さってはいるが、血が流れている様子はなく。ガラス細工には時折オレンジ色の光が点滅活動している。

ーーマナ保有量に対して光る色がオレンジ色であるーー

「殻炎様。オラ10号。オラ10号。」

「そうだ10号。お前に重要な任務を与える。あそこに見える人間、そうだ、あのおっさんを殺せ。速やかにな」

「10号了解した。あの人間殺す。そして役に立つ。」

「ハッハッハ。10号、お前があの人間を殺したら、そうだな、マナ保有量を増やしてやろう。そしたら、まだ生きられるぞ?」

殻炎が口端を吊り上げ、10号に威張り散らす。

「マナ大事。さっそく行ってくる。殺したら約束。」

10号は殻炎に頭を下げると戦場に走っていった。

「・・・まあ、逆に殺されるだろうがな・・・」

殻炎が呟くと纏う炎が小さくなり、

殻炎もまた姿を消した。

ーー
10号VSおっさん。

果たしてどうなる?!

次回に続く
ーー
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