第17話 エルフ:エル・ガーラの覚悟

文字数 834文字

この生命溢れる都ルシアーには、情報が集まっている。

全世界における種族の情報から、国宝のアイテムに至るまで様々な情報が集まっており、

その情報を仕入れる者、売り渡す者、無料で公開する者、それを利用する種族は多い。

エルフであるその女性は、500年という年月で人間年齢25歳。

その容姿は大変美しく、大人っぽさと魅惑的でありながら、可愛らしさを兼ねており、

通りすがる人からの視線が集まることが日常であった。

その長年の知識や人生観は20年で加齢1つならではの達観の域にある。

(まったく、相変わらずこの視線は嫌だわね)

エルフの女性エル・ガーラは先祖との契約に従い、冒険者を選別し、

適正・個別の特性を見極め冒険者を指南する活動している。

活動は年4回の春夏秋冬、3ヶ月に1回、

冒険者組合の組合長との話し合いの上、冒険者試験に参加している。

そのエル・ガーラの観察眼は凄まじく、一目見ただけで、大概の能力値がわかってしまう程であった。

・・・が、そのエル・ガーラが初めて違和感を覚える存在を目の当たりにした時、視線に入る力は変わる。

「っ!?(ギロリッ)」

戦慄。恐怖。喜悦。悲哀。様々な感情を一瞬にして、感じ入ってしまったエル・ガーラ。

見た目はおっさん。どこからみても、どんな風に感じ入っても、おっさん。

ただただ、おっさん。見た目に騙されるエル・ガーラであったなら、どんなに良かったか。

おっさんを見て分かる能力値は遥かに人間のいやエルフすらも平均値を超え、

エル・ガーラに危険を感知させる。しかし、おっさんに殺気が無い以上、下手に動けない。

(おっさんなのになんでこんな出鱈目なの・・・とにかく、試験は契約により反故にはできない・・・

何も起こらないことを祈るばかりだけど、万が一の時は私の全力を出し・・・殺すしかないわね・・・)

エル・ガーラは強い視線にておっさんを睨みつけたまま、覚悟を決めるのであった。


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