第2話
文字数 2,805文字
「涼し~!! ほらほらもっともっと!」
鬼畜天宮さん降臨。
後ろに天宮さんを乗せ始めてから数分、乗り出してからというもの後ろに乗ってる天宮さんに肩をバシバシ叩かれながら坂道を下ってる。
と言っても、ちゃんと涼しいだろうと思うギリギリの速度でブレーキをかけながら下ってる。ブレーキをかけなかったら一大事なんだから……。
………………
…………
……はっ!
こんなところを見られたら僕と天宮さんが付き合ってるみたいじゃないか……。
「ねぇ……耳赤くなってるんだけど何考えてんの?」
「ひやっ……! な、ななななにやってんの! 危ないじゃんか!」
「あははは……。あー笑った。あいかわらず耳弱いんだね」
「天宮さん……!!」
天宮さんの声が聞こえたと思ったら、悪戯しようとして僕の耳を触れたのか、さわさわっとくすぐるように耳たぶを触られた後、ふぅ~と生暖かい息が耳に当たって一瞬脳天から脊髄にかけてビビッとつい反応してしまったが、実行犯である天宮さんは腹を抱えるように笑った。
これが僕と天宮さんの日常なんだけど、いつになっても慣れない……。
「ねぇよーた」
「……」
「ねぇねぇねぇ」
「怖いってば! なに?! 天宮さんついに病んだ?!」
「そんなんじゃないもん……」
「もんって言ったってポイント上がんないよ……」
「ちぇっ……」
それよりもだ! もんっていう言葉より大事なことを忘れてる!!
自転車を漕ぎ出してから天宮さんの豊満なお胸がずっと当たってるんだから心臓がすごいことなってるよ!
「……よーちゃんのバカ」
「なんて?! 風で聞こえない!」
「なんでもない!」
難聴難聴なんてどこかで叩かれそうな気がするけどマジと書いて本気でスピード出てるってのもあって風邪を切ってるから運悪く聞こえなかった。
「そーいえばよーたの誕生日いつだったっけ!」
「僕の誕生日?! 僕の誕生日は十二月上旬だけど?!」
「うへへへ~。ありがと~!」
「ちょっ……! 動かないで! 危ない! 抱きつくならずっとそうしてて!」
「あ~い!」
変なところは子供のままな天宮さん。
喜ぶ時はとことん喜ぶからよくわかんないんだよね……感情の起伏が。
そんな天宮さんが大好きだから良いんだけどボヨンボヨンと胸が背中にあたって変に意識しちゃう……。
「はぁ……はぁ……つがれだ……」
「おつかれっ!」
「み、水……」
「ちょっとまってて! すぐに用意して来るから玄関で待ってて!」
ギリギリの速度で自転車をこぐこと約十分。
やっと思いで天宮さんの家に着いて二人して降りると一気に疲れがどっとかさなって息も少し過呼吸気味になる。
少し息を整え、天宮さんに水貰えないかな? と安直に言ったら天宮さんのうちの玄関まで案内してくれた。
玄関に自分のカバンを置いてそそくさとリビングへ水を入れに行ってくれた。
「ちょっと、そこ通してよ。通れないじゃない」
「あ、ごめん莉 緒 」
「あたしのことはお姉ちゃんみたいに天宮さんって呼びなさいよ! なんで私のことは名前呼びなの?!」
塾の帰りだろうか、天宮さんの妹である莉緒が帰ってきた。
いつから彼女と話すようになったかは記憶が定かじゃないから断定はできないけど、いつのまにか妹から妹ちゃん。莉緒ちゃん。莉緒と言う順番で少しずつ呼び方を変えたのは覚えてる。如何してかは知らないというか覚えてない。
「あ、そっか。まだ戻ってなかったんだった」
「まだ誰か帰って来てないの?」
「さあ? お姉ちゃんが来たから厄介者はご退場します~」
「莉緒!」
「まあまあ天宮さん……っとと、ありがと。水」
「ママが晩御飯多く作り過ぎちゃったから食べてく? って言ってたんだけどどうする?」
「ん~……流石に母さんに悪いから今日はやめとくよ。誘ってくれてありがとね」
……どういうことか、外で会うようになったら二週間に二、三回晩御飯に呼ばれるようになったりしてて多分、天宮さんと父さん、妹、姉ちゃんの三人は仲良しだし、多分親同士も仲良いと思う。まあ嫌な予感というか不安しか残らないけど、落ち着け……。
「あら、陽太くんじゃない!! 来てたなら早く言ってよ! 来る前に化粧したのに!」
「……ど、ども。ご無沙汰です」
「えぇ~……里奈って呼んでってこの間言ったじゃないの! 晩御飯余分にに作っちゃって寝泊まりもしてくって良輔さんに連絡したばっかりなのに……」
「あんのバカ親父が……。勝手に返事しないでくれ……」
「奈緒ちゃんの作った晩御飯嫌だっていうの? 泣いちゃうわ……しくしく」
「ママってば! 言わないって約束だったじゃない!」
「いいじゃないの。このままだったら帰っちゃうところだったわよ? 陽太くん」
?? 天宮さんが晩御飯作った……? いつから……? もしや……
「いえ、帰りません。晩御飯いただきます」
「さっきまで「母さんに悪いから今日はやめとくよ」ってダサく言ってたの誰なのよ……」
「あなたもご飯よ莉緒」
「え~……私まだ予習終わってないんだけど?」
「天宮家の家訓を忘れたのかしら?」
「わ~わ~! わかった! 荷物置いたらすぐ行くから!」
あれ? 二階に上がってた莉緒、いつのまに一階に降りて来てたんだ?
っていうかあいかわらず天宮家の家訓ってなんなんだ……。一年になるけどまだわからん……。
「よーた。あたしの部屋に鞄置いたらす ぐ にリビング来てよ」
「そんなきつく言わないでも変なとこ見ないよ……」
そんな僕って頼りないのかな。
そうやってボソボソぼやきながら、天宮家の二階にある天宮さん(奈緒の方)の部屋の前に着く。
天宮さんの部屋……ね。なんとも言えないモヤモヤした感じがあるけど、今はうちに閉まっておこう。
そして、いざ部屋の前についた途端に心拍数が上がったのか、普段はそれほど聞こえないはずの心臓がドクンドクン動いている音が聞こえる。
覚悟を決め、口内に溜まってた唾をゴクリと音がはっきり聞こえるくらい呑み込んだ。
息を整えた後、部屋を見るなと天宮さんから遠回しに忠告されたことを思い出して、床を見ながら部屋の入る。
どこか覚えがあるような可愛いカーペットが引かれていてその真ん中にはテーブルが置いてあった。
ただただ自分のカバンを置こうとしている場所を一点に見つめ、テーブルに立てかけるようにさっと置き、じろじろ見てないでしょ? と言われたくない一心で、一瞬で部屋を出てゆっくり呼吸を整えながら一階に降りた。
一階に降りてすぐ手を洗ってからリビングへ少しずつ近付くと、僕の大好きな食べ物の良い匂いがしてきた。
鬼畜天宮さん降臨。
後ろに天宮さんを乗せ始めてから数分、乗り出してからというもの後ろに乗ってる天宮さんに肩をバシバシ叩かれながら坂道を下ってる。
と言っても、ちゃんと涼しいだろうと思うギリギリの速度でブレーキをかけながら下ってる。ブレーキをかけなかったら一大事なんだから……。
………………
…………
……はっ!
こんなところを見られたら僕と天宮さんが付き合ってるみたいじゃないか……。
「ねぇ……耳赤くなってるんだけど何考えてんの?」
「ひやっ……! な、ななななにやってんの! 危ないじゃんか!」
「あははは……。あー笑った。あいかわらず耳弱いんだね」
「天宮さん……!!」
天宮さんの声が聞こえたと思ったら、悪戯しようとして僕の耳を触れたのか、さわさわっとくすぐるように耳たぶを触られた後、ふぅ~と生暖かい息が耳に当たって一瞬脳天から脊髄にかけてビビッとつい反応してしまったが、実行犯である天宮さんは腹を抱えるように笑った。
これが僕と天宮さんの日常なんだけど、いつになっても慣れない……。
「ねぇよーた」
「……」
「ねぇねぇねぇ」
「怖いってば! なに?! 天宮さんついに病んだ?!」
「そんなんじゃないもん……」
「もんって言ったってポイント上がんないよ……」
「ちぇっ……」
それよりもだ! もんっていう言葉より大事なことを忘れてる!!
自転車を漕ぎ出してから天宮さんの豊満なお胸がずっと当たってるんだから心臓がすごいことなってるよ!
「……よーちゃんのバカ」
「なんて?! 風で聞こえない!」
「なんでもない!」
難聴難聴なんてどこかで叩かれそうな気がするけどマジと書いて本気でスピード出てるってのもあって風邪を切ってるから運悪く聞こえなかった。
「そーいえばよーたの誕生日いつだったっけ!」
「僕の誕生日?! 僕の誕生日は十二月上旬だけど?!」
「うへへへ~。ありがと~!」
「ちょっ……! 動かないで! 危ない! 抱きつくならずっとそうしてて!」
「あ~い!」
変なところは子供のままな天宮さん。
喜ぶ時はとことん喜ぶからよくわかんないんだよね……感情の起伏が。
そんな天宮さんが大好きだから良いんだけどボヨンボヨンと胸が背中にあたって変に意識しちゃう……。
「はぁ……はぁ……つがれだ……」
「おつかれっ!」
「み、水……」
「ちょっとまってて! すぐに用意して来るから玄関で待ってて!」
ギリギリの速度で自転車をこぐこと約十分。
やっと思いで天宮さんの家に着いて二人して降りると一気に疲れがどっとかさなって息も少し過呼吸気味になる。
少し息を整え、天宮さんに水貰えないかな? と安直に言ったら天宮さんのうちの玄関まで案内してくれた。
玄関に自分のカバンを置いてそそくさとリビングへ水を入れに行ってくれた。
「ちょっと、そこ通してよ。通れないじゃない」
「あ、ごめん
「あたしのことはお姉ちゃんみたいに天宮さんって呼びなさいよ! なんで私のことは名前呼びなの?!」
塾の帰りだろうか、天宮さんの妹である莉緒が帰ってきた。
いつから彼女と話すようになったかは記憶が定かじゃないから断定はできないけど、いつのまにか妹から妹ちゃん。莉緒ちゃん。莉緒と言う順番で少しずつ呼び方を変えたのは覚えてる。如何してかは知らないというか覚えてない。
「あ、そっか。まだ戻ってなかったんだった」
「まだ誰か帰って来てないの?」
「さあ? お姉ちゃんが来たから厄介者はご退場します~」
「莉緒!」
「まあまあ天宮さん……っとと、ありがと。水」
「ママが晩御飯多く作り過ぎちゃったから食べてく? って言ってたんだけどどうする?」
「ん~……流石に母さんに悪いから今日はやめとくよ。誘ってくれてありがとね」
……どういうことか、外で会うようになったら二週間に二、三回晩御飯に呼ばれるようになったりしてて多分、天宮さんと父さん、妹、姉ちゃんの三人は仲良しだし、多分親同士も仲良いと思う。まあ嫌な予感というか不安しか残らないけど、落ち着け……。
「あら、陽太くんじゃない!! 来てたなら早く言ってよ! 来る前に化粧したのに!」
「……ど、ども。ご無沙汰です」
「えぇ~……里奈って呼んでってこの間言ったじゃないの! 晩御飯余分にに作っちゃって寝泊まりもしてくって良輔さんに連絡したばっかりなのに……」
「あんのバカ親父が……。勝手に返事しないでくれ……」
「奈緒ちゃんの作った晩御飯嫌だっていうの? 泣いちゃうわ……しくしく」
「ママってば! 言わないって約束だったじゃない!」
「いいじゃないの。このままだったら帰っちゃうところだったわよ? 陽太くん」
?? 天宮さんが晩御飯作った……? いつから……? もしや……
「いえ、帰りません。晩御飯いただきます」
「さっきまで「母さんに悪いから今日はやめとくよ」ってダサく言ってたの誰なのよ……」
「あなたもご飯よ莉緒」
「え~……私まだ予習終わってないんだけど?」
「天宮家の家訓を忘れたのかしら?」
「わ~わ~! わかった! 荷物置いたらすぐ行くから!」
あれ? 二階に上がってた莉緒、いつのまに一階に降りて来てたんだ?
っていうかあいかわらず天宮家の家訓ってなんなんだ……。一年になるけどまだわからん……。
「よーた。あたしの部屋に鞄置いたら
「そんなきつく言わないでも変なとこ見ないよ……」
そんな僕って頼りないのかな。
そうやってボソボソぼやきながら、天宮家の二階にある天宮さん(奈緒の方)の部屋の前に着く。
天宮さんの部屋……ね。なんとも言えないモヤモヤした感じがあるけど、今はうちに閉まっておこう。
そして、いざ部屋の前についた途端に心拍数が上がったのか、普段はそれほど聞こえないはずの心臓がドクンドクン動いている音が聞こえる。
覚悟を決め、口内に溜まってた唾をゴクリと音がはっきり聞こえるくらい呑み込んだ。
息を整えた後、部屋を見るなと天宮さんから遠回しに忠告されたことを思い出して、床を見ながら部屋の入る。
どこか覚えがあるような可愛いカーペットが引かれていてその真ん中にはテーブルが置いてあった。
ただただ自分のカバンを置こうとしている場所を一点に見つめ、テーブルに立てかけるようにさっと置き、じろじろ見てないでしょ? と言われたくない一心で、一瞬で部屋を出てゆっくり呼吸を整えながら一階に降りた。
一階に降りてすぐ手を洗ってからリビングへ少しずつ近付くと、僕の大好きな食べ物の良い匂いがしてきた。