第10話

文字数 1,080文字

「「…………」」

 え、何この沈黙。すっごい気まずいんだけど……。

「二人、仲直り的なことしたんじゃなかったの?」
「それはママの前ではそうしてただけよ。二人とも、変に頑固なんだから。一ヶ月はかかると思うわ」
「学校とかそういうことに支障をきたさないっていうなら別にいいんだけど、こんな感じじゃ無理だよね? この中で親しいの奈緒抜いたら莉緒か光だけなんだから」
「あの人は無理よ。元々、奏さんの方から嫌ってるんだから」

 光。
 なんかもうもうドンマイとしか言いようがない。
 初めて会った時に感じたのが奈緒とこの人は似てるなってことだからそういうことらしい。
 納得せざる負えない。

「納得しそうな僕がいるから情けない……」
「お姉ちゃんと奏さんは性格似てるからね」
「一番短にいる莉緒が言うんだからそういうことなんだってなるけど、解決させた方がいいんじゃない? もう明日夏休みなんだからさ」

 妹なんだから我関せずってことにしないで仲直りの仲介役しようよ……。

「あたしは無理。だから仲介役なるなら一人で頑張りなさい」

 まあ、莉緒が仲介役になって仲直りさせてるならすぐにでもやってる……。

「はは……無理っぽそうだけどできる範囲で頑張ってみるよ」
「それと耳貸しなさい。お姉ちゃんにはこれが有効だから」
「莉緒! 変なことよーたに吹き込まないでよっ!」
「わかってるってば!」

 莉緒に耳を傾けると二人には聞こえない範囲で、あることを僕に教えてくれた。

「後でも良いからお姉ちゃんに先に帰るって言ってやっすいものでも良いから何か買ってきなさい。奏さんはそうね。お姉ちゃんにプレゼント買いに行くからついてきてくれとでもいったらついてくると思うから」
「了解。後で言っとくよ」
「つ、ついでにあたしのも買ってきても良いんだからね!」

 ……。そっちが欲しそうと思うのは僕だけだろうか。

「心配しなくても買ってくるから問題ないよ。莉緒」
「〜〜ッ!! 勝手に人の頭撫でんなバカ! もう知らない!」

 ぐへぇ……。つい勢いで撫でたら払われついでに腹パンやられてしまった。

「ちょっと莉緒! 弱いんだから手加減しなさいよ!」
「お姉ちゃんたちも早く仲直りしてよ!」

 完全に主導権が莉緒に握られてたな。僕は腹を抱えて俯いていて奏さんはあたふたしてる。奈緒はよくわからない。





 と、回想した一連の出来事をクラスメートの友達が見てたらしく。速攻メールで確認して取り囲まれてるというわけだ。

 まったく……散々な日だ。
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