第5話

文字数 1,742文字

 天宮家に住むことになってから一晩経った朝、生まれて初めての手作り弁当を持って奈緒と莉緒と一緒に学校へ向かい、偶然にも三人でいるところを見てたクラスの数人が莉緒と別れた後、奈緒と一緒に教室に着くや、登校しているところを偶然にも見ていたクラスメートの男子三人が俺を囲んで何やら険しい顔をしてる。

「一年の頃から天宮と仲良いと思ってたけど、どうやったらマドンナ的な天宮と接点持てるんだ?」

 ……え? そっち? てっきり、何仲良くしてんだってリンチに合うかと思ってたんだけど……。

「話してもいいんだけど。ほら……」
「「「……そ、そうだな」」」

 どうしてかわからないけど、奈緒と教室に入ってすぐに剥がされたからなのか張本人らをものすごい睨んでる。

 まあそれには流石に気付いただろう。
 睨まれていることに気付いた三人は、「またあとでな」と言った後、矢継ぎ早に自分の席に各々戻ってった。

「……何話してたの」
「むすっとしてる奈緒には教えてやんない」
「やーだー! 教えてー!」
「ちょ、ちょちょ! わかったわかった。わかったから! そんな大声で!」

 離れたにも関わらず、まだ不満が残ってたのか、睨んでた表情から謎にムクれてたっていうか、不貞腐れてた。

 そんな表情をする奈緒をいじめたくなったというか、普段はいじられまくってるから今度こそやり返すと思ってたけどやっぱり無理だった……。

 あとめっちゃ見られてるから……うわぁ……何やってんだって目で見られてる。

「よっ。相変わらずやってんな陽太に天宮」
「あんたは来なくていいのよふにゃちん」
「あいかわらず手厳しいこった! なぁ? 陽太」
「頼むからその状況で僕にふんないでよ光」

 光。
 名前を箕島光。
 奈緒と腐れ縁のようで保育園から今までずっと同じ学校かつ同じクラス。
 そして、どうしてかはわからないが奈緒の光に対する当たりが人一倍でかいし、なぜかふにゃちんと呼ばれている。
 まあどうして光がふにゃちんって呼べれてるのかは聞かないでおこう。

「また宿題付き合ってくれよ」
「あー……。今年はうちじゃなくて昨日から奈緒の家に住むことなったから」
「そういうことだから今年はあんたじゃなくあたしだから!」
「光が僕を独占してたみたいに言わないで……。ちゃんと祭と打ち上げ花火の時は奈緒といたよ……」
「陽太といたのその二日だけだもん……。こいつとは二週間以上いたって言うのに」
「そこは僕に言わないで光と要相談してほしいところなんだけど」
「だってよ。どうすんだよ」
「あんたは祭と打ち上げ花火の日以外の一週間だけよ」
「わあったよ」

 一週間以上話し合うかと思ってたけど、一日のものの数分で完結した。
 それだけでいいのか。

「ま、こいつを頼むわ陽太。泣き虫だからよ」
「ちょっと! 陽太に変なこと言わないでよね!」
「やなこった!」

 ふぅ……。運が良かった。ちょうどチャイムがなって担任が入ってきた。

 ありがとう担任。

 ありがとうチャイム。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 昼休憩のチャイムが鳴り、すぐさま矢継ぎ早に逃げてった三人と速攻で連絡先を交換して莉緒と待ち合わせした噴水広場に急いで向かい、まだついていないことを確認するとベンチに座って息を整えること数分、莉緒と教室にいるはずの奈緒が談笑しながらいた。

「そうなの! 今年はあたしの!」
「良かったじゃないお姉ちゃん!」

 離れたところから見たら学校で一二を争うくらい人気の女の子二人が仲良く話してるように見えなくもない。

「あ、ごめんね陽太。莉緒とここに来る前に会ったから話し込んじゃって」
「だ、い丈夫だよ……はぁはぁ」
「……もう。体力ないのに走ったでしょ」
「こういうやつだから仕方ないよお姉ちゃん。ほら、飲む物」
「莉緒のじゃなかったの?」
「あたしは大丈夫。もう一本あるから」
「そっか。ありがと莉緒」

 水が入ったペットボトルを受け取ったあと、楽しく談笑しながらお昼ご飯を食べたのであった。

 そういえば、なんで光は僕が奈緒って呼んでたことに違和感持たなかったんだろ……。
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