サツキナ・イダロッテ 2

文字数 875文字

 ブルーナーガ海上国家は多島国家である。
 海上貿易のハブターミナルになっていて、盛んに各国の船が行きかう。
 商人達は大型の船に乗り込み、遠く果てない異国にまで向かい、珍しい物を運んで来てはイエローフォレストやブラックフォレストの市場で売っている。更に異国の文化も大いに取り入れ、科学、芸術伴に発展した国であると同時に経済的に豊かな国である。
 ブルーナーガは連合国家である。最高機関は各部族の長による部族会議であり、連合国家の王は各部族の合議制で決められる。王であっても外に対しての単なる代表者と言う扱いであるので、政策に関しての決定権は持たない。

 各部族の自治権が強い反面、その連合の緩さの隙を縫って海賊が跋扈しているのも、また否めない事実である。中には部族政府お墨付きの海賊もいる。ブルーナーガ海上国家は複雑に各部族の利権が絡まり合い、一筋縄では行かない。


「アクレナイト侯爵か……」
 どんな男かは知らないが、イエローフォレストのスズメバチと異名を取る程の女傑と結婚しようとするのだから、怖いもの知らずな男であることは間違いない。

 (スズメバチもいよいよおおっぴらに出来る閨の相手が欲しくなったか。あの精力旺盛な女が3年も独り寝など出来る筈も無い)

「断った時には、またリエッサ王妃自らが軍を率いて我らを迫害しに来るのであろうか」
 サツキナはそう言うと苦笑いをした。

リエッサ王妃の実父はハアロ大将軍である。イエローフォレスト西軍を統括する大将軍だ。前回インディグラント川を行き来する船渡しの件でダンテ国王がジョレス国王と揉めた時、リエッサは軍を率いてやってきた。
お陰で船渡しの割合はイエローフォレスト2に対してブラックフォレスト1である。その不平等条約を何とか是正したいのだが、一度得た利権は決して放さないのが国家と言うものである。交渉は難航している。それなのにまた新しく800万ビルド。


 使者は返した。
「いいえ、リエッサ王妃はすでにアクレナイト侯のお子様、即ちお世継ぎを身籠っておられます。なので、そのお役目はアクレナイト侯がなされますでしょう」
 

 


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