第10話:寛太の子・鉄郎の、お披露目

文字数 2,122文字

 寛太の子、鉄郎が誕生した時にに特に印象に残ったのは漁協の山下社長の一言、山下社長が来て出産おめでとう玉の様な元気な男の子を見て17年前、1968年に亡くなった、寛太の父、嵐山正一も天国から寛太の子を見て、さぞかし喜んでるだろうと涙ぐんで、本当におめでとうと言ってくれた。

 それを聞いていた母の安江が社長に抱き付き、あの人に孫の顔を見せたかったと言いながら泣き崩れ、それを見ていた家族も思わずもらい泣きした。社長が一升瓶と祝儀袋を安江に手渡してくれ、次に社長が寛太を呼んで、でかした、お前の子供は俺等の宝だ良い子に育てろよと荒っぽく、肩を強くたたいた。次に君恵の実家の両親が訪ねてきて君恵の父の佐藤秀夫が俺等の子供は君恵、一人で大事に育てた。

その娘が子供を産んで佐藤家の3代目ができたんだ、うれしいよ、これで、また次の世代に橋渡しできたんだ鉄郎には逞しい、でっかい男になって欲しい。本当にうれしいよと男泣きして寛太を呼んで良い子に育ててくれと肩を抱き合って喜んだ。また港の職場や近くの商店の人達も鉄郎の可愛い顔を見て元気をもらえるよと語り、港の方に鉄郎を見せに来てくれと言われた。

 寛太が港の有名人になって、その息子誕生を港の関係者全員で祝福してくれた。こうして寛太にとって一番、忙しいかった1986年の正月が過ぎた。その後、寛太は仕事が空くと急いで家
に戻り、鉄郎の顔を見ては、あやして帰る日々が続いた。少しずつ暖かくなり4月を迎え君恵も実家の食堂の手伝いを始めた。4月は2日に1日に出て5月の連休明けの頃から普段通り週5日の仕事を始めた。

 寛太は以前の様に日曜日に幸夫の所へ行かなくなり鉄郎のそばから離れなかった。株式市場はの動きは激しくなく、鉄郎は生後半年を過ぎるとハイハイをする様になり表情も出てきて時折見せる笑顔は、まるで天使の様で、みんなを笑顔にしてくれた。港の仲間達も、その鉄郎の笑顔見たさに手土産をもって頻繁に訪問してくれ、家族達も鉄郎の笑顔を見るため、仕事を終わると早く帰ってくる日々が続いた。

 夏が過ぎ、あっと言う間に1987年を迎え今年も正月から鉄郎見たさに大勢の人の訪問があり15畳のリビングと8畳の部屋とダイニングルームに大勢の人達が集まってきて、幸い差入があるので酒とつまみは十分だったが食器を運んだり料理したり女性達は、てんてこ舞いで大勢の客の応対をした。そして鉄郎へのお年玉袋の数もその分多かった。

 この頃には、時折、立ち上がる素振りを見せ、歩き出すような予感をさせてくれた。12月もあっという間に過ぎ1988年を迎え鉄郎が2才になった寒さ厳しい2月に鉄郎が風邪を引いて真っ赤な顔で、みんなを心配させた。ちょうど王子総合病院の内科の良三がいたので処置の方法を教えてもらい頭をひやせ水を飲ませろ薬を定期的にのませろと指導されて5日ほどで熱が落ちて普通通りに戻った。

 良三が母の免疫から鉄郎自身の免疫、つまり最近やウイルスと戦う力を試され始めたと言うことだと話してくれた。1987年3月にソニー株が下げてきたので1180円で1万株、買い指値を出し買えた。残金が601万円になった。やがて5月になり鉄郎が立って歩く日が多くなり目が離せなくなり頭が重いせいか、すぐ転げる。8月になる事には立って歩く様になり転げなく
なり、家の周りの砂の多い場所で寛太が鉄郎を遊ばせる日が多くなった。

 その後、天気の良い休みの日は鉄郎は寛太と散歩するのが楽しみのようで、すぐに玄関へ向かい出て行きたい素振りをし、もう一人前に御飯を食べ元気いっぱいに遊ぶようになり、今年は夏休みに寛太と鉄郎と君恵で新冠のサラブレッド牧場へ馬を見に言った。馬を見ると鉄郎は喜んで、はしゃいで走り回った。9月20日に2才の誕生日を迎え、すっかり元気な男のと言った感じになった。

 その頃、幸夫おじさんが三菱パジェロという4輪駆動の車を買ったので見せに来て7人乗りドライブして、たくさんの写真を撮ってきた。その翌週の日曜は朝早く出発して、襟裳岬までロングドライブを楽しんだ。寛太、お前も運転免許取れと言われ、10月から時間を見ては運転免許の学科試験の本を勉強し人気のない場所を見つけては内緒でハンドルを握り運転の練習をして11月には免許を取り、その頃には雪が降り出し時化の日が続いた。

 そんな日は寛太は鉄郎とボール遊びしたり輪投げをしたしして遊んでいた。この頃から正月に、あれだけ多くの人がに集まっていたのが、めっきり減ったが君恵の実家のご両親や幸夫おじさん港の商店のおばさん達は来てくれた。この年1988年は、株の方は、あまり大きな動きがなかった。1988年の4月23日に二郎の次男、嵐山啓二が誕生した。

 手の甲が厚く、がっちりした感じで将来、大きな身体になりそうな予感する逞しい男の子だ。これで二郎は兄弟で1番の子沢山で3人の子供のパパになった。5月になり、幸夫おじさんがドライブに誘ってくれるようになり、札幌まで連れて行ってくれた。途中、大きな道では寛太に運転を交代して、来年は泊まり込み出かけようと言ってくれた。
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