第8話:コンビニの将来性に賭ける

文字数 2,208文字

 次に大きな出来事はイランイラク戦争開始、イラクの奇襲1980年9月22日未明、イラク軍が全面攻撃、イランの10の空軍基地を爆撃、イラン軍が迎撃するという形で戦争は始まった。翌日、イラクは両国の644kmに渡る国境線を越え三方向から地上軍を侵攻。南部戦線ではフーゼスターン州に橋頭堡を確保しシャッタルアラブ川流域のアーバーダーンやホラムシャハルを包囲する目的だった。こんな激動の1年だった。

 この年1980年8月に米国のセブンイレブン、朝7時から夜11時までの営業している便利な店・コンビニエンス・ストアーが日本に上陸して株を上場すると言う情報が入った。この新しい業態の店に興味を持った幸夫は証券会社から資料を取り寄せたり直接証券会社に出向いて話を聞き始め、この会社は個性的で当たればでかいと思い、その後、株価を注視して買い場を探していた。

 嵐山家では王子製紙に務めている寛太の弟の二郎が、同じ職場に勤める2才年下の池田益子さんと10月に結婚式を苫小牧市内であげた。その時に益子さんは妊娠6ヶ月の身重であり、いわゆる、できちゃった婚のはしりだった。そして1980年が終わりを告げて1981年が明けた。嵐山家の新年会に行った。長女の和子は、苫小牧東高校で国語の先生を初めて、いろんな経験の毎日だと言っていた。

 また北海道大学医学部の良三が24才になり今年研修医になるが内科系に行くか外科系に行くか悩んでいたが最初の目標、最前線の医者になりたいとすれば内科系であり、患者さんを診断して何科に行くべきかを知らせる医者になりたいと思い、やはり内科を目指すべきだと考えている
と語った。医者としてに多くの人命を救うとしたら外科より内科かも知れないと考えた、やはり内科の研修医になることに決めたと連絡が入った。

4月に内科研修医として北海道大学付属病院で研修を開始した。また1981年4月26日、二郎に長女、嵐山比奈子が誕生した。株式市場の大発会、初日、寛太は108円で1万株、108万円で買い指値を入れてセブンイレブン株を買った。残金は307万円になった。この年も冬場の時化が激しく何日も漁に出られず漁協の仕事もなかった。

そんな時、幸夫の家で英語の本を読んだり小説を読んだりして3月頃から毎日、漁が開始され出られる日が続き、市場も食堂も活気が出てきて、寛太は4月、忙しく働きだした。この頃からトヨタとソニー株が上昇して来たので売値を検討しトヨタ1000円、ソニー2650円の売り指値を入れ、数日後、売れ、2700万円の儲けで、残金が2977万円になった。

 5月の休みに寛太は幸夫に家を建て替えたいと言い、今の家は広い敷地にぽつんと1軒ですきま風をベニアと断熱材で応急修理した箇所があった。幸夫が調べてみると札幌のIFホームの寒冷地仕様住宅で6LDK延床面積で70坪231m2で3000万円のモデル住宅の情報を掴んだ。実際に札幌のIFホームを訪ねて相談すると実際に苫小牧の現地を見せて下さいと言われ、了解した。

 数日後その会社の人3人が車で見に来た。どこまでが敷地ですかと尋ねられ教えた。これだけ広い敷地だと今の家を壊さなくても大きな家が建てられますよと言った。そして関係者の1人が
敷地が 広いから、まず新しい家を建ててから近所の解体屋に古い家を壊すようにした方が、安上がりだと教えてくれた。1981年6月から工事して9月中に入居できますと言われて、お願いする事にした。

 幸夫は妹の安江に家は寛太の名義で、ここに建て寛太から家賃をもらい、それで俺の借金を払ってもらうと言い、1981年9月に立派な2階建ての大きな木造の一軒家が完成した。その週の日曜日に家族総出で家財道具を運び入れ、寛太が家財道具で使えない様な物は買い換えろと100万円を安江に渡した。寛太が幸夫おじさんに株投資を教えてもらい稼いだ金だと言った。

 安江は寛太と幸夫にお礼を言って寒くなる前に不必要になった家財道具を処分して新しい家財道具を50万円かけて買いそろえてた。古くなった家はとり壊さずに嵐山家と安江の実家の物置として使う様に提案し、10月中に家財道具の整理が終わって新しい生活が始まった。11月になり寒くなったが高断熱ペア硝子の窓と断熱性の高い壁のお陰で以前よりも暖かくなり快適な生活ができた。

 大きな風呂と1階、2階にトイレを完備し近代的な家に生まれ変わった。きれいな家になると不思議なもので以前に付き合いのなくなった近所の人達や安江と寛太が世話になってる漁協の人達も良く魚を持って来てくれるようになった。 その後1982年を迎え正月の新年会に嵐山家に漁協の社長もすき焼き肉を持って挨拶に来てくれ立派な家を建てたな良い実家を持って良かったなといってくれた。漁協近くの食堂や店屋の人達が多くの食べ物を持って家を見に来た。

 長女、和子、三男の良三も札幌から帰ってきて、新しい家を見て、広い、暖かい、きれいと驚いていた。そして差入れの酒や魚を安江と和子と寛太で手分けして料理してリビングのテーブルの大皿に出してくれ6人で食べ、寛太と幸夫は熱燗の酒を飲みながら料理をつまんで満足そうだった。良三が株で幾ら位儲けたのかと聞くと幸夫が2人で高額の宝くじの当選金額位かなと答えると1億円越えかと聞くと金額は秘密と言った。 
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