「マリンの誕生日」B

文字数 8,071文字

屋敷の風呂は大浴場である。
欧州の貴族を思わせる豪華な作りで広々としていた。
浴槽は泳げるほど広い。

2月の本格的な冷え込みは体を芯から冷やしてしまう。
マリンのことが心配で夜も少ししか寝ていない太盛は
湯船に肩までつかっていた。

まぶたを閉じると、睡眠不足のためうとうとしてしまう。

「お背中をお流しいたしますわ」

と、つやのある女の声が聞こえたので驚いた太盛が身構えた。

(だれだ? ユーリかミウか?
  今日は頼んでないのに来るなんて珍しいな)

振り返ると、脱衣場から見知った妻の顔が見えた。
エリカは熱いシャワーを浴びて体を清めた後、
太盛の湯船につかってきた。

身体を密着させてこう言った。

「たまにメイド達をお風呂場に呼んで話し相手に
  なってもらっているそうですわね?
  本人たちに聞きましたわ」

「その……一人で入っていると退屈だからね。
  僕は長湯するタイプだから、話し相手がほしいなって思って」

「あなたったら、つれないです。わたくしでは
  話し相手にならないのですか?
  わたくしは太盛様の妻ではありませんか」

妻という言葉を使われると太盛は弱かった。
彼らの結婚は太盛の父が強く望んだことだから、
すさまじい強制力がある。

夫婦でなければこの島で生活する意味がないのだ。

「エリカ。こっちにおいで?」

「はい」

太盛に誘われるとエリカは従順な乙女になる。
湯船の上で二人は抱き合った。湯気が幻想的な雰囲気をつくり、
互いの気持ちを盛り上げる

湯の注ぎ口はライオンの形をしている。太盛は無意識に
エリカの豊満な胸へ手を伸ばす。
乳首をつまむと、エリカが甘い吐息をはいた

「よかった。私のことをちゃんと
 女として見てくれているのですね」

「エリカ。君はとっても魅力的なんだよ。
  君の魅力は10年たった今でも変わっていない」

「太盛様から褒められるなんて、素直にうれしいですわ。
  でも太盛様はいけないお人ですから、
   私以外の女性も魅力的に見えてしまうのでしょう?」

言葉に詰まる太盛。エリカは遠回しにユーリとの関係を
皮肉っているのだ

妻の嫌味は一度始まると長い。今は湯船につかっているので
のぼせてしまうと思ったので、強引にエリカに口づけした。

「ん」

エリカの髪が湯に濡れる。湯の温度とは関係なしに、
エリカの顔が上気した。押し付けた唇を一度離し、
今度はもっと強くキスをする。

口を少し開けて舌を絡ませた。

「……苦しいですわ」

とエリカがせつなそうに言うので唇を解放した。

「ごめんね。ちょっと強引すぎたかな」

「違うんですの。
 愛情のないキスをされるのが苦しいんですの」

太盛は胸に長ヤリを突き刺された気持ちになった。
確かに自分がエリカの立場だったら同じ気持ちだろうと思った。

太盛はエリカを性的に愛していても、彼女の心まで
好きになったことは一度もない。恋愛感情というものを、
一度も妻に持ったことがないのだ。

「太盛様に愛していただけるのなら、なんでもいたしますわ」

エリカは太盛の首の裏へ両手を伸ばし、距離を近づけて言った。

「明日から和服を脱いで、ユーリのようにメイド服を
 着ればいいのですか? それともミウのように
 ジャージを着て木こり仕事のお手伝いをすればよろしいのですか?」

その言葉に若いメイド達に嫉妬していたエリカの感情が表れていた。
太盛はこの時になって、エリカが食事中に赤ワインを何杯も
飲んでいたことを思い出した。

「さみしいです……。私の心はずっと孤独でした……」

一滴の涙が、エリカの頬へ流れ落ちた。

人の思いは目には見えない。だから言葉で伝えるか、
行動で示すしかない。太盛はいつもなら前者を好む。
しかし、いまさらエリカへ愛の言葉を並べたところで意味はない。

だからまたキスをした。

エリカが飽きるまで、何度もキスをつづけた。

「太盛様は、これからもずっと私の夫ですからね?」

「ああ」


自分たちは夫婦である。それしかエリカには強みがなかった。
若さでも美貌でも自分はミウとユーリには勝てないと知っていた。

監禁事件の時に失ってしまった太盛の心も2度と自分に
戻ってくることがないことも。

それでもエリカは狂おしいほどに太盛だけを求め続けた。
女の意地は簡単には収まらず、これからも太盛を見えない
鎖で縛り続けることになるのだった。




マリンの風邪が治ると同時に雪が降り始めた。
騒ぐほどの積雪ではないが、また館に引きこもる生活が
続くと思うと、家族たちの気持ちが重くなる。

今朝、ミウが監視塔の頂上から見た雪景色は幻想的で、
あまりの美しさに監視業務を忘れてしまったほどだ。
島一面に降り注ぐ雪。森と山の木々を白く染めるその光景は、
まるで一枚の絵画を見ているかのようだった。


お昼の食堂である。
マリンは父の隣の席に座ってべったりであった。
最近早起きができる良い子になったので、
朝昼晩とも父と一緒に食事をとっている。

「今日はお父様と一緒にすごしますの」

「いいよ。午後はマリンの好きなことをして遊ぼうか」

「お父様がおすすめしてくれる本が読みたいですわ」

「本か。良いね。どんな本が良いの? 童話かい?」

「小説とか、長く読めるものが良いですわ。
  真冬は外で遊べないので退屈ですから」

「ならミステリー小説でもおすすめしようかな。
  パパの本棚にまだあったはずだ」

そんなマリンと太盛を向かい側の席で見守る人物がいた。
太盛の妻であるエリカである。エリカの隣にレナとカリンもいた。

「マリンちゃん。すっかり風邪が治ったみたいで良かったわね?」

笑顔だが、目は笑っていなかった。
病気が回復するなり愛する旦那を独り占めしようとする小娘の
事が気に入らないのだ。その矢のような視線を、マリンは
軽く受け流しながらこう言った。

「ええ。ありがとうございますエリカおばさま。
  お父様とユーリが献身的に看病をしてくれたおかげですわ」

「ユーリねぇ。ユーリもすごく良い子よねぇ。
  マリンちゃんのことを実の子供みたいに可愛がっているわ。
   太盛様とユーリが夫婦だとしたら、お似合いだと思いません?」

「う……」

太盛、思わずうねる。エリカの直球過ぎる表現に
またしても返す言葉が思い浮かばす、うつむいてしまうのだった。

助け舟を出したのはマリンだった。

「おばさまの言う通りですわね。お父様は思いやりがあって
  優しい女性が好みのようですから。お父様だけでなく、
  世の殿方は思い込みが強かったり、気性の荒い女性のことを
  好まないようですわよ?」

「あらそう……。うふふ。マリンちゃんったら、
  ずいぶんと知ったようなことを口にするのね。
   うふふふ。笑いが止まらないじゃない」

「気に障ったらごめんなさい?
  わたくしは思った通りのことを口にしただけですわ。
  お父様から自分の意思をはっきり述べるのが
   スマートな女性だと教えられておりますので」」

この言葉にエリカが顔をさらにひきつらせた。
あおっているマリンも顔は笑っていても、
獣のように鋭い目つきである。

見えない火花が両者の間に散り、
食堂の空気がどんどん凍り付いていく。

「なら、私もはっきり言わせてもらうわね?
  マリンちゃんは賢くて早熟な子だけど、
  少し目上の人に対して口が過ぎるんじゃないかしら?」

「私はお父様をかばっただけのことですわ。
  エリカおばさまがお父様を責めるようなことを
   話されていたではないですか」

母を怖がって静かに食事をしていたレナとカリンは、
まだ皿が半分以上残っているのに席を立った。

幼い双子にこの刑務所のような緊張感はとても耐えられなかった。

「ごちそうさまでした。
午後は理科の課題が残っているので、お先に失礼いたします」

と声をそろえて出ていく。ご飯をほとんど食べてないので、
食堂にいる意味がなかった。お腹が減ったので
あとでミウにこっそりお菓子を部屋に運んでもらうのだった。


エリカの番である。

「私が太盛様を責めているように感じているのなら、
 その原因が太盛様本人にあることはもちろん知っているのよね?」

暗に太盛とユーリの浮気のことを聞いているのだ。
マリンは黙ってうなずいた。

「これは、わたくしたち夫婦の事情というものなの。
 マリンちゃんはもうすぐ10歳になるわけだけど、本土では
  小学生の年齢にあたるわけ。大人の関係に口を出すのは
   生意気だと言われても仕方がないわよ?」

「そうでしょうか? 私は自分の父が苦しんでいる姿を
  見て心が痛んだのでフォローをしているだけですわ。
   父の手助けをするのが、そんなにいけないことなのでしょうか?」

「それが生意気なことなのよ。自覚がないのかしら?
  そもそもあなた、太盛様に外仕事がないのをいいことに
   休みの間ずっと独り占めしようと考えているでしょう?」

「何か問題でもあるのですか? 父も私といるのを楽しみにしていますが」

「太盛様はね、私の旦那なの。お分かりかしら?
  夫婦で過ごす時間はとっても貴重なものなの」

「それはよく分かりますわ。おばさまが妻であるように
太盛お父様の娘は私ですから、親子で仲良く過ごしたいだけです」

「太盛様にとって第一は私で、あなたはそれ以下よ。
  調子に乗らないで頂戴」

「そんな決めつけを……」

マリンは途中で言葉を区切り、軽蔑する目でエリカを見た。

「されるのでしたら。お父様に直接うかがえばいいのですわ。
 そうすれば白黒はっきりとつくと思いません?」

「いい考えねえ。それでは、太盛さん。
  私とマリンちゃんのどちらが大切なのか
   はっきりおっしゃっていただけます?」

と妻と娘に真剣な顔で見られ、緊張と圧迫により固まる太盛。
二人の喧嘩の当事者であるので黙ってうつむいていたが、
何か答えなくてはこの修羅場を乗り切ることはできない。

本音を言えばエリカはどうでもいい。
夫婦という形式なだけで同居人の延長である。
性的に愛してはいても、心から好きになれないのは
何度も説明した通りだ。

娘3人の中でもマリンは特別に利口で気が利く。
学問も趣味も父を真似して、どんなささいなことでも
父を尊敬してくれる自慢の娘である。

マリンと答える選択肢もあったが、問題はエリカの顔である。
エリカのソ連人の血筋を思わせる冷酷な表情と目には、
強い猜疑心(さいぎしん)が宿っている。

下手に刺激して怒らせれば、また監禁事件が再現される
かもしれないと太盛はおびえていた。

「どっちも大切だよ。僕はこういうことに
 優劣をつけるのは無意味だと思っている」

「太盛様ったら、またそういうご冗談をおっしゃるの?
  白黒はっきりさせていただきたいのですが?」

「しかしだな……エリカも大人になってくれ。
そうやって喧嘩口調で話したら
余計に関係が悪くなるだろ。僕はマリンと……」

「Please answer yes or no. you want me or marin?」

(マリンとわたくしを選ぶか。二つに一つしか
 回答はありえませんわ)

ついに妻の英語が出てしまった。
突き放すような冷たい言い方であり、
エリカが相当に怒っているのがうかがえた。

仕方ないので太盛も英語で答える。

「I’m a man honest. so… today i have a promise that i'll read
books with marin.then i am going out of hire.
I finished today’s lunch time.」
(マリンと本を読む約束をしてある。僕は正直者だからね。
 食堂を去るよ。今日の昼食はもう終わりだ)

「No. you didn’t answer me. My lovely husband?
You meaned you want marin?」

(答えになっておりませんわ。あなた様はマリンを
選ぶということなのですか?)

「I am leaving hire. That’s i want to say.
i will stay with my marin this afternoon.
and erika, i want to talk with you tonight. is that all right?」

(僕はここを去る。それが言いたいだけだ。
 午後はマリンと過ごす。ただしエリカ。
 君と夜に話がしたい。了承してくれるか?)

「Well.no problem.my husband」

(それなら、問題はありませんわ)

これで話し合いが終わった。英語は白黒をはっきり
させる特徴を持つので、話し合いにはぴったりなのだ。
直接的にものを言いすぎて喧嘩になりやすくもあるのだが。

去り際にマリンが余計なことを言った。

「Excuse me,lady Erika? i must go.
i am going to have a lovely time with my great father.」

(それでは失礼いたしますわ。エリカ様。
  私は尊敬すべきお父様と素敵な時間をすごしますので)

エリカはいらだちを込めて、英国風に言った。

「I see. i wish you had a bloody time.」

(あらそう。最低な一日になることを祈っているわ)

それにマリンは笑顔でThank you と答えて父をおびえさせた。


マリンの部屋に着いて二人きりになると、
マリンは太盛に抱きついてきた。
身長差があるのでマリンが父を見上げながら言う。

「お父様は私のこと嫌いになりましたか?」

「いきなりなんのことだい?」

「私がおばさまと口喧嘩をしたことです。
 醜いことだと分かっていましたが、あの人が
 相手だと止まらなくなってしまうのです」

くやしそうに唇を噛むマリン。勢いで喧嘩をしたのだが、
幼いマリンにとって怖くもあった。
相手はただでさえ年上で老獪(ろうかい)なエリカである。

レナカリンという実の娘たちが怖がって手も足も出ない
相手にマリンは一人で挑みかかったのである。

勇気というよりは蛮勇(ばんゆう)といえた。

「エリカは気が強いからつい言い返したくなる気持ちもよく分かるよ。
 あいつはとげのある言い方をするから、自業自得って
  ところもある。喧嘩のことを僕は気にしてないよ。
 それに、マリンはパパを守るために戦ってくれたんだよね?」

父に頭を撫でられると、そこにはあどけない9歳の女の子の
姿があった。父の前だけで見せる、マリンの素顔だった。

「お父様は優しい方ですわ。私のことを一番よく
 分かってくれるのはお父様だけです」

「マリンは特別だからね」

「特別なのですか?」

「ああ。特別だ。僕はマリンのことを一番かわいがってるよ」

「お父様は私のことを本当に大切に思ってくださるのですね。
  レナやカリンよりも大切ですか?」

「それは……」

親として愛情に優劣をつけてはいけないのは分かっている。
双子姉妹も可愛がってはいるが、どうしてもマリンの順位が上になる。

双子は憎むべきエリカが生んだ子供だから、子供らに罪はなくても
エリカの血を引いた双子をどこか遠い目で見ることがたまにある。

太盛はそんな自分が嫌だった。

「ごめんなさいお父様。答えにくいことを聞いてしまいましたわ」

「マリンはいつもそうやって僕を気づかってくれるけど、
  子供は聞きたいことを素直に聞いていいんだよ?
  君の知ってる通り、僕はエリカが苦手だ。
   結婚だって親が勝手に決めたこと。でもね、
世の中の流れには逆らえないことがある。
僕は流れのままに生きてるだけなんだ」

「流れですか……クッパお母さまも
同じことを言っていましたわ。」

「運命には良い流れも悪い流れもある。少なくとも僕は
島生活に満足しているよ。おじいさん(太盛の父)の
おかげでお金に困ることはない。素敵な家族
を持つことができた。人生ってのはさ、良いほうに
考えたほうが得なんだ。先のことを悩む必要なんてないんだよ。
パパが教えてあげた新約聖書の一文を覚えているかな?」

「はい。人は明日のことまで悩むことはない。
まずは今日のことを悩むべき、というくだりですね」

「その通り。マリンはお利口さんだね。さあ、難しい話は
これくらいにして、絵本でも一緒に読もうか?」

「はい。お父様」

イエスが生まれる以前には旧約聖書のみが聖典として扱われてきた。
人は過ちを犯しやすく、また人は過ちを犯すからこそ
人間らしいのだと、太盛は解釈している。
また多くのユダヤ人たちは、人生で最も悲しいことは
貧困といさかい(争い)であるといってきた。

太盛は聖書の教えを絶対だと信じて来たから、神の存在しない
世界など考えたことがなかった。地球の始まりは旧約聖書の
創世記の書いてある通りだと信じてきた。

そしてその教えはマリンにも引き継がれた。

レナやカリンは宗教など古臭いと相手にせず、
エリカは無宗教国家のソ連人の血を引いているから、
聖書を読んでいながらも、心のどこかで否定していた。


その日の夜、太盛はベッドでエリカと寄り添っていた。
お昼に約束した通り、太盛はエリカと二人きりの時間を作ったのだ。
寝るにはまだ早く、夜の9時半だ。

2人ともお風呂は上がっていて、あとは寝るだけ。
夫婦の寝室は余計なものが置かれてないので広々としていた。
コンパクトなビクター製の木製スピーカーがオブジェのように
置かれている。

ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲のミサが流れていた。
合唱曲であり、短調である。パイプオルガン伴奏が床にまで
響くほどの重苦しい低温を奏でている。

「エリカがミサを聞くなんて知らなかったな。
  信仰心はあまり強くないと聞いていたけど」

「党首様(太盛父)がCDを送ってくださったのです。
 いちおうこの島は長崎県の一部ですから」

「そうか。長崎は日本のカトリック教徒の本拠地だったね」

長崎の出島は欧州との唯一の玄関口だった。

鎖国していた日本は、当時世界の海上帝国だったオランダと
貿易することで世界の情勢を知った。
長崎は欧州文明の根幹であるキリスト教が入ってきた場所でもある。

「本当はあまり信じてないのだけど、気分だけでも
  聖なる人になろうかと思って聴いているんです。
   太盛様の心が日に日に私から離れていくようですから、
    どうしたらいいのか悩んでいるところですの」

「……少なくとも聖書に答えは書いてないだろうね」

「分かっておりますわ」

「エリカは深く考えすぎなんだ。心はどうであれ、
 僕たちは夫婦関係であることに変わりはないだろう?」

エリカは答えなかった。
自分が話したいのはそんなことじゃない
という気持ちを込めて少しの間黙っていた。

太盛が困り果て、何が話そうとする前にエリカが口を開いた。

「私に可愛げがないのはよく分かっています。
  マリンちゃんのように従順で気の利く女の子のほうが
  太盛さん好みなのですわ。ユーリも同じ特徴をもっています。
   よく考えてみたら、マリンちゃんとユーリは似ていますのね」

「エリカ……。その、なんて言ったらいいのか。
  僕は大馬鹿だ。それは否定できない」

「結婚する前に危惧した通りになってしまいましたわ。
  太盛様は浮気性が治らない。私は攻撃的で嫉妬深い性格が治らない。
   本当に性格は治せないものなのですね。私たちは10年前の
   婚約者時代から心の根っこの部分は何も変わっていません」

「すまない……」

「謝らなくていいですわ。ひどいのはお互い様です。
  この前ジョウンさんと相談したのですけど、あなたは
   監禁事件のことを今でも恨んでいるのでしょう?」

太盛が黙ったのでエリカが急かした。
太盛は無言でゆっくりとうなづいた。

「だからといって君と別れるつもりはないぞ?」

「私だって同じ気持ちですわ」

夜の暴露大会は続いていく。エリカは太盛のユーリとの浮気を
ジョウンと相談したことも話してしまった。そして容認するという
結論に至ったことも。太盛は天と地が裂けるほどの衝撃を受けた。
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