王様なカレ
文字数 1,877文字
"こんなはずじゃなかった"
OLの山田リンはつくづく自分が不幸だと思った。
大学を卒業してから入った会社がサービス残業続きのブラック企業で体調を壊して退職し今の会社に転職したが、仕事のできない先輩のフォロー、扱いづらい後輩の指導に苦労しその苦労を目の前で見ているはずの上司はなにも自分のサポートをしてくれない。かといって給料が仕事のできない先輩より多いわけでなく、サポートをしてくれない上司はしっかり有給をとっている始末。
年齢も33歳をむかえ、大学時代の友人は
結婚して会社を辞めたもの
弁護士、公認会計士等の資格をもちバリバリ働いて男性以上の年収を稼ぎだして仕事が生き甲斐になっていもの
小さいころから自分の店をもつことが夢だったので会社員時代に貯めたお金を使って店をもったもの
がいて、自分のやりたいことに邁進しているか、夢を叶えている。一方で自分はやりたいことすら見つけられない状況だ。
そんなことを考えながら、会社の帰り道、商店街の喫茶店に夕食をとるためによった。
放映中のテレビを眺めていると、自分が大学時代よく足を運んでいた、田舎のライブハウスでバンド活動をしていたロックバンドグループ "THE VERY KING" のメンバーが写し出された。田舎の小さなライブハウスで活動していた彼らは後に、インディーズでアルバムをリリース、メジャーレーベルでシングル・アルバムをリリース、そして近日中に日本武道館で単独公演が決まっており今、勢いがある。
「偉くなっちゃってまぁ」
リンはつぶやいた。
リンは大学時代メンバーのメインボーカル"KEN"と付き合っていたのだが、KENが四股かけるようなモテ男だったため、あきれはててしまい別れたのだった。
夕食を済ませ喫茶店を出ると
喫茶店に入るまでは見つからなかったような
"時(人生)買います"
という札をつけた屋台があったので冷やかしで覗いてみることにした。
店員……いらっしゃいませ。この店はあなたの時(人生)、健康を売って、それに見合った契約・もの・こと(体験)が手に入る店です。
リン……"THE VERY KING"のKENに会うにはどれだけの人生を犠牲にすればいいでしょうか?
店員……最短で会うために売る人生の量をこちらで決めてよいということでしょうか?
リン……健康でないとカレに会うときカレが、がっかりするだろうから売れませんが、人生の量はそちらで売る量を決めてもらってかまいません。
店員……売ってしまった人生の思い出は一切残らないことに同意していただいて、この契約書にサインをお願いします。
リンが契約書にサインするとすぐに、リンは大学時代に通っていたライブハウスに自分がいることがわかった。
ライブハウスのカレンダーを見ると時を売ったときから、2年ほどしかたっていなかった。
リンは
"人気のバンドなのに2年間の時を売っただけで個人的に会えることはおかしい"
と思い周囲を見渡した。
すると、やつれたアルバイトの男を見つけた。
"KENだ。"
すぐにわかった。
そしてリンが話しかけ二人の会話が始まった。
リン……あんなに人気のバンドだったのにどうしてここでバイトなんてしているの?
KEN……週刊紙や、TVの報道でなん股もかけて不倫してグループを抜けることになったって知ってんだろ。煽ってくるんじゃねぇよ。
リンはKENの社会的な価値が下がっていたため2年間の人生の売却で会うことができたことを理解した。
続けざまにKENがいった。
「てゆうか、あんた誰だよ?」
この言葉にリンはカチンときた
「大学時代あなたになん股もかけられて捨てられた女よ。当時のことを私たちはなんで週刊紙にリークしなかったかわかる?先天的にモテる要素があってこの男はモテるんだから仕方がない。と思うほどあなたがいい男だったからよ。そのいい男がちょっと週刊紙やワイドショーの女にモテない人間の醜い嫉妬に叩かれたぐらいでやさぐれていないでよ!当時捨てられた女が納得するぐらい常にカッコイイ男じゃなきゃ納得できないじゃない。」
その言葉にKENが反応した。
「俺がモテるなんてあたりめぇだ。そのことにとやかくいちゃもんつける輩などに人生狂わされてたまるか。お前に言われるまでもなく俺はもう一発当ててやるから見ていやがれ!!」
この二年後、再出発したKENのバンドの武道館公演の会場でリンはこうつぶやいたそうですよ。
「やればできるじゃない。少し失敗した位で必要以上に叩く人間のいうことなど気にしなくていいのよ。さすが私の王さま。あなたが私の生き甲斐よ。」
OLの山田リンはつくづく自分が不幸だと思った。
大学を卒業してから入った会社がサービス残業続きのブラック企業で体調を壊して退職し今の会社に転職したが、仕事のできない先輩のフォロー、扱いづらい後輩の指導に苦労しその苦労を目の前で見ているはずの上司はなにも自分のサポートをしてくれない。かといって給料が仕事のできない先輩より多いわけでなく、サポートをしてくれない上司はしっかり有給をとっている始末。
年齢も33歳をむかえ、大学時代の友人は
結婚して会社を辞めたもの
弁護士、公認会計士等の資格をもちバリバリ働いて男性以上の年収を稼ぎだして仕事が生き甲斐になっていもの
小さいころから自分の店をもつことが夢だったので会社員時代に貯めたお金を使って店をもったもの
がいて、自分のやりたいことに邁進しているか、夢を叶えている。一方で自分はやりたいことすら見つけられない状況だ。
そんなことを考えながら、会社の帰り道、商店街の喫茶店に夕食をとるためによった。
放映中のテレビを眺めていると、自分が大学時代よく足を運んでいた、田舎のライブハウスでバンド活動をしていたロックバンドグループ "THE VERY KING" のメンバーが写し出された。田舎の小さなライブハウスで活動していた彼らは後に、インディーズでアルバムをリリース、メジャーレーベルでシングル・アルバムをリリース、そして近日中に日本武道館で単独公演が決まっており今、勢いがある。
「偉くなっちゃってまぁ」
リンはつぶやいた。
リンは大学時代メンバーのメインボーカル"KEN"と付き合っていたのだが、KENが四股かけるようなモテ男だったため、あきれはててしまい別れたのだった。
夕食を済ませ喫茶店を出ると
喫茶店に入るまでは見つからなかったような
"時(人生)買います"
という札をつけた屋台があったので冷やかしで覗いてみることにした。
店員……いらっしゃいませ。この店はあなたの時(人生)、健康を売って、それに見合った契約・もの・こと(体験)が手に入る店です。
リン……"THE VERY KING"のKENに会うにはどれだけの人生を犠牲にすればいいでしょうか?
店員……最短で会うために売る人生の量をこちらで決めてよいということでしょうか?
リン……健康でないとカレに会うときカレが、がっかりするだろうから売れませんが、人生の量はそちらで売る量を決めてもらってかまいません。
店員……売ってしまった人生の思い出は一切残らないことに同意していただいて、この契約書にサインをお願いします。
リンが契約書にサインするとすぐに、リンは大学時代に通っていたライブハウスに自分がいることがわかった。
ライブハウスのカレンダーを見ると時を売ったときから、2年ほどしかたっていなかった。
リンは
"人気のバンドなのに2年間の時を売っただけで個人的に会えることはおかしい"
と思い周囲を見渡した。
すると、やつれたアルバイトの男を見つけた。
"KENだ。"
すぐにわかった。
そしてリンが話しかけ二人の会話が始まった。
リン……あんなに人気のバンドだったのにどうしてここでバイトなんてしているの?
KEN……週刊紙や、TVの報道でなん股もかけて不倫してグループを抜けることになったって知ってんだろ。煽ってくるんじゃねぇよ。
リンはKENの社会的な価値が下がっていたため2年間の人生の売却で会うことができたことを理解した。
続けざまにKENがいった。
「てゆうか、あんた誰だよ?」
この言葉にリンはカチンときた
「大学時代あなたになん股もかけられて捨てられた女よ。当時のことを私たちはなんで週刊紙にリークしなかったかわかる?先天的にモテる要素があってこの男はモテるんだから仕方がない。と思うほどあなたがいい男だったからよ。そのいい男がちょっと週刊紙やワイドショーの女にモテない人間の醜い嫉妬に叩かれたぐらいでやさぐれていないでよ!当時捨てられた女が納得するぐらい常にカッコイイ男じゃなきゃ納得できないじゃない。」
その言葉にKENが反応した。
「俺がモテるなんてあたりめぇだ。そのことにとやかくいちゃもんつける輩などに人生狂わされてたまるか。お前に言われるまでもなく俺はもう一発当ててやるから見ていやがれ!!」
この二年後、再出発したKENのバンドの武道館公演の会場でリンはこうつぶやいたそうですよ。
「やればできるじゃない。少し失敗した位で必要以上に叩く人間のいうことなど気にしなくていいのよ。さすが私の王さま。あなたが私の生き甲斐よ。」