第3話 「悪夢」

文字数 402文字

 オレはいつも夢のなかで、何故だか無性にイライラして腹を立てている。
 だから、夢のなかで知らない誰かを殴ってみたり、ときには怒りを抑えきれずに刃物で刺して殺してしまったりしていた。
 ……それは夢のなかのことだから別にどうとも思わない。
 自分でも薄っすら夢だと分かっている行為というか、現実ではない夢のなかのでの誰も知らない出来事なんだ。
 おおかた夢が覚めれば何の罪にもならないし、なんにも変わらない。いつも通りだ。
 今夜も夢のなかで、見ず知らずの気に入らない誰か知らない他人をぶちのめして、ナイフでメッタ突きにして殺してやった。

 目覚めると、オレはビルの隙間にあるゴミ捨て場のまえで蹲っていた。
 目の前には、夢のなかでオレがナイフで刺し殺してやった見ず知らずの男が、血まみれでゴミに紛れて死んでいる。

 ……いや、見ず知らずじゃない!?
 その男は、オレの夢のなかに出てきた奴だった。
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