第1話 「こわいものみたさ」
文字数 911文字
それじゃ、ひとつ……あなただけに、とっておきの怖いお話をしてあげましょうか。
そう、ひとは死ぬと息がなくなり、古い躰を捨てるように魂だけとなります。
ここで、生きているうちに善いおこないをしたか、はたまた悪いおこないをしたかによって、行く道が分かれてしまいます。
そうです……天国に昇れるか、地獄に堕ちるかという最後の審判が下されるのです。
けれど、違った存在(もの)もいます。
この世にずっと心が残ってしまい、成仏できずに魂だけとなって、この世をさまよい続けるものがいます。
その霊の姿を、『幽霊』と呼びます。
――幽霊というものをあなたは信じますか。
それじゃ、このわたしが特別に、幽霊の姿を実際に見る方法を……あなただけに、お教えいたしましょう。
なあに、とても簡単なことです。普段、あなたが生活している場所ですよ。
そう、自分の部屋を思い浮かべてください……。
ゆっくりとドアをあけて、あなたの部屋に一歩踏み込んでください。
そうして、部屋の四隅に意識を集中してごらんなさい。
さあ、目を閉じて、じっくりと日常の感覚ではない超自然的な感覚を研ぎ澄まして見渡すのです。
いえいえ、なんにも恐れることはありませんよ。
これは、ただの余興のようなものですから。最後まで愉しんで聞いてくださいね。
……どうしたんですか? あなた。ねえ、あなた。
そんな蒼い顔をして。さっきから、しきりに後ろを振り返って身震いしてますよ。
さあ、お話を先に進めましょうか。
断っておきますが、この話は、あなたが自分で望んで聞いてくれているのですからね……。
ちゃんと最後まで、わたしの言うことをよく聞いて、素直に想像してください。
そうです。部屋の一番暗い場所。どんよりとした一角なのです。
その片隅に、ぼんやりと白く立っている影が見えるはずです。
そう、その通りです。
うつむいて悲しそうに立っている人影が、あなたの頭のなかにも、はっきりと浮かんで見えてくる。
そして、このわたしの、ほんとうの顔も……。
いま、この時点で、あなたが自分のお部屋に居ないことを祈ります。
そう、ひとは死ぬと息がなくなり、古い躰を捨てるように魂だけとなります。
ここで、生きているうちに善いおこないをしたか、はたまた悪いおこないをしたかによって、行く道が分かれてしまいます。
そうです……天国に昇れるか、地獄に堕ちるかという最後の審判が下されるのです。
けれど、違った存在(もの)もいます。
この世にずっと心が残ってしまい、成仏できずに魂だけとなって、この世をさまよい続けるものがいます。
その霊の姿を、『幽霊』と呼びます。
――幽霊というものをあなたは信じますか。
それじゃ、このわたしが特別に、幽霊の姿を実際に見る方法を……あなただけに、お教えいたしましょう。
なあに、とても簡単なことです。普段、あなたが生活している場所ですよ。
そう、自分の部屋を思い浮かべてください……。
ゆっくりとドアをあけて、あなたの部屋に一歩踏み込んでください。
そうして、部屋の四隅に意識を集中してごらんなさい。
さあ、目を閉じて、じっくりと日常の感覚ではない超自然的な感覚を研ぎ澄まして見渡すのです。
いえいえ、なんにも恐れることはありませんよ。
これは、ただの余興のようなものですから。最後まで愉しんで聞いてくださいね。
……どうしたんですか? あなた。ねえ、あなた。
そんな蒼い顔をして。さっきから、しきりに後ろを振り返って身震いしてますよ。
さあ、お話を先に進めましょうか。
断っておきますが、この話は、あなたが自分で望んで聞いてくれているのですからね……。
ちゃんと最後まで、わたしの言うことをよく聞いて、素直に想像してください。
そうです。部屋の一番暗い場所。どんよりとした一角なのです。
その片隅に、ぼんやりと白く立っている影が見えるはずです。
そう、その通りです。
うつむいて悲しそうに立っている人影が、あなたの頭のなかにも、はっきりと浮かんで見えてくる。
そして、このわたしの、ほんとうの顔も……。
いま、この時点で、あなたが自分のお部屋に居ないことを祈ります。