第69話 決着
文字数 1,320文字
黒々と輝き出す俺のGの革靴の刻印。揺らめくイドの光でまるでかさかさと蠢いているような見た目。
俺の発動した重力加重操作が、着地したばかりのミノタウロスへ襲いかかる。
がくりと膝をつくミノタウロス。
振り上げられ、今にも振るわんとばかりだったバトルアックスがゆらゆらと揺れる。
(まだだ! もっと、もっとだっ)
俺は限界以上のイドをイド・エキスカベータから汲み取る。
俺の黒く染まった両目から、血が溢れ出す。黒く染まった血が、俺の両頬をだらだらと流れ落ちる。
それに合わせ、Gの革靴で蠢いていたイドが魔法陣となって広がり始める。ミノタウロスの頭上を覆い尽くすように広がった黒い魔法陣。
ついにミノタウロスは、抵抗むなしくその重さで、地面へと縫い付けられる。
解放スキルに、さらに俺のイドの因子を経由して大量のイドを送り込み発動した重力加重操作は、ミノタウロスにかかる重力を十数倍にしていた。あまりの重さにダンジョンの床が、断続的に陥没する。
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち。
ミノタウロスの体内からまるでイクラが潰れるような音が響き渡る。
「やっぱり。騎士スライムも重力に弱かったから、もしかしたらと思ったんだ。スライムは骨格無いから全般的に重さに弱いんだな」
俺はミノタウロスにしがみつきながら呟く。
ミノタウロス自体は流石に頑丈なのか、魔法耐性のお陰なのか、動けはしないようだが、その形は保たれている。
しかし、その中に詰まったスライムが次々に潰れ、どろどろに溶けたスライムだった液体が、穴という穴からこぼれていく。
地面に縫いつけられたミノタウロスの下に広がる、それ。
そしてついに全てのスライムの分体が潰れたのか、中身がすかすかになったミノタウロスがピクリとも動かなくなる。
俺は横たわるミノタウロスの耳に歩み寄ると、ちょうど、よたよたとアクアがミノタウロスの耳から這い出てきた。
「この重力加重状態で動けるか。さすがアクアだ」と俺はミノタウロスを踏みつけ重力加重状態を維持しながら呟く。
「じゅ、ぅを、よごぜ。よご……ずの。がいろう、がぃろぅがっぁぁぁ!」
粘体に顔だけ浮かべ、叫ぶアクア。そんな状態になっても、高まり続けるイド。
「朽木っ、危ないっ!」と江奈の警告。
ダンジョンマスターとなって得た何かの権限を使用しているアクア。
俺は、もっと聞きたい事が沢山あったが、仕方なく装備を魔法銃に変えると、粘体に浮かぶアクアにゼロ距離で魔法銃を押し付け、魔法弾を乱射する。
「さよならだ、アクア」
ゼロ距離で炸裂する魔法弾。
飛び散る粘体。
一部は跳ね返って、俺の身体を掠め、無数の傷を刻んでいく。まるでアクアの最後の悪あがきのように。
俺の魔法弾一発一発がアクアの残された身体を削っていく。師匠が消しきれなかったそれを、ただただ無心に魔法銃で削り取っていく。
言葉にならないアクアの絶叫だけが辺りに響き渡る。
「これで最後だ」俺はアクアの粘体の最後の一欠片に魔法銃を向ける。
乱射される魔法銃。
「ま、まぁ。ごめぇん、な、のぉ」
最後に、そんなアクアの声が聞こえた気がした。
俺の発動した重力加重操作が、着地したばかりのミノタウロスへ襲いかかる。
がくりと膝をつくミノタウロス。
振り上げられ、今にも振るわんとばかりだったバトルアックスがゆらゆらと揺れる。
(まだだ! もっと、もっとだっ)
俺は限界以上のイドをイド・エキスカベータから汲み取る。
俺の黒く染まった両目から、血が溢れ出す。黒く染まった血が、俺の両頬をだらだらと流れ落ちる。
それに合わせ、Gの革靴で蠢いていたイドが魔法陣となって広がり始める。ミノタウロスの頭上を覆い尽くすように広がった黒い魔法陣。
ついにミノタウロスは、抵抗むなしくその重さで、地面へと縫い付けられる。
解放スキルに、さらに俺のイドの因子を経由して大量のイドを送り込み発動した重力加重操作は、ミノタウロスにかかる重力を十数倍にしていた。あまりの重さにダンジョンの床が、断続的に陥没する。
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち。
ミノタウロスの体内からまるでイクラが潰れるような音が響き渡る。
「やっぱり。騎士スライムも重力に弱かったから、もしかしたらと思ったんだ。スライムは骨格無いから全般的に重さに弱いんだな」
俺はミノタウロスにしがみつきながら呟く。
ミノタウロス自体は流石に頑丈なのか、魔法耐性のお陰なのか、動けはしないようだが、その形は保たれている。
しかし、その中に詰まったスライムが次々に潰れ、どろどろに溶けたスライムだった液体が、穴という穴からこぼれていく。
地面に縫いつけられたミノタウロスの下に広がる、それ。
そしてついに全てのスライムの分体が潰れたのか、中身がすかすかになったミノタウロスがピクリとも動かなくなる。
俺は横たわるミノタウロスの耳に歩み寄ると、ちょうど、よたよたとアクアがミノタウロスの耳から這い出てきた。
「この重力加重状態で動けるか。さすがアクアだ」と俺はミノタウロスを踏みつけ重力加重状態を維持しながら呟く。
「じゅ、ぅを、よごぜ。よご……ずの。がいろう、がぃろぅがっぁぁぁ!」
粘体に顔だけ浮かべ、叫ぶアクア。そんな状態になっても、高まり続けるイド。
「朽木っ、危ないっ!」と江奈の警告。
ダンジョンマスターとなって得た何かの権限を使用しているアクア。
俺は、もっと聞きたい事が沢山あったが、仕方なく装備を魔法銃に変えると、粘体に浮かぶアクアにゼロ距離で魔法銃を押し付け、魔法弾を乱射する。
「さよならだ、アクア」
ゼロ距離で炸裂する魔法弾。
飛び散る粘体。
一部は跳ね返って、俺の身体を掠め、無数の傷を刻んでいく。まるでアクアの最後の悪あがきのように。
俺の魔法弾一発一発がアクアの残された身体を削っていく。師匠が消しきれなかったそれを、ただただ無心に魔法銃で削り取っていく。
言葉にならないアクアの絶叫だけが辺りに響き渡る。
「これで最後だ」俺はアクアの粘体の最後の一欠片に魔法銃を向ける。
乱射される魔法銃。
「ま、まぁ。ごめぇん、な、のぉ」
最後に、そんなアクアの声が聞こえた気がした。