第7話 6月15日

文字数 909文字

最近、アパートから会社の寮に引っ越しをしました。寮は風呂なしでトイレは共同でしたが月の支払いが一万五千円と格安だったので引っ越しを決めました。それに寮は今まで住んでいた町とは別の町にあり、いい気分転換にもなると思った。

さて、寮生活を始めて四、五日経ったある日、次の日は休みだったので夜遅くまでスマホをいじって起きてた。

それから十二時を過ぎたころ、少し腹が減ってきたのでコンビニに行こうと思いました。寮からコンビニまでそれほどの距離はなく新しい町で散歩がてらに歩いていくことにした。

外に出ると星が綺麗な夜でした。新鮮な町並みをワクワクしながら歩きました。

深夜の小学校の前を通り、閉店してシャッターの閉まったスーパーを越えて歩いていると道の真ん中に中年の女が立っているのが見えた。

こんな夜遅くになんか嫌だな、と思ったけれど、その道を通らないとコンビニに行けない。だが、女はまだ突っ立ったままだ。

仕方なし歩いていくと、その女が近づいてきた。

「もしよかったら寄っていきませんか?」

虚ろな感じの目が不気味だったけど、なるほど、道を曲がって奥の方に屋台があった。カウンターの中には男の姿が見える。夫婦でやっているのかな、と思った。

屋台には赤い提灯がぶら下がっていて、屋根にはペンキで「おばさんの店」と書かれていた。

まぁ、腹が減っていたし、コンビニまで行く手間も省けると思い屋台に向かった。


やがて、屋台に近づいて、ギョッとした。

カウンターの中にいたのはマネキンだった。遠目で見たときは男に見えましたが、目の前にいるのは明らかに人ではなかった。

そして、カウンターの上には薄汚い丼が並べられていて、丼の中にはそれぞれに石が入れられていた。

不思議に思って辺りを見回したけれど、さっきの女の姿はどこにもなかった。

しばらく、呆気にとられて呆然としていた。すると、どこからか女の狂ったような大きな笑い声が聞こえてきた。

怖くなってきたので走って寮に帰りました。それから、その日はすぐに布団を頭から被って寝ました。


後日、明るいときにあの場所に行ってみましたが、もちろん屋台はありませんでした。

夜は……

気味が悪いのでその道は通らないようにしています。
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