前作『イルマの東へ』

文字数 1,723文字



◇ 唯一、感想を受け付けてみた他サイト「カクヨム」でいただいたレビューです(※いただいた感想はどれも恐縮するほどご丁寧な内容で感謝が絶えませんが、バランスをとるため一部割愛しております) ◇ 

★『神話の雰囲気ただよう世界で手に汗握る冒険を。正統派、行きて帰りし物語 』 

  最後までハラハラドキドキの連続で、一度読み出すと止まりません。 クロースアップからロングショットまで駆使したメリハリの効いた情景描写が、映像的な美しさを保ちながらも、テンポ良くストーリーを物語ります。 映像の切り取り方が非常に巧みなので、配慮の行き届いた描写は読んでいてつかれません。 まるで一本の映画を観ているようです。 また作者さまはライトノベル執筆歴もあるということで、丁寧で分かり易い日本語を意識しながらもセリフに今時な感じを入れたり、文章にもちょっと遊びを入れたり。本格的な物語にも意識して軽やかさを取り入れていらっしゃるようで、スッと世界に入り込めます。 ライトノベルと本格的な児童文学の橋渡しになるような、絶妙なバランス感覚を持った作品です。


★『丁寧な描写と、魅力的な登場人物。年齢に関係なく読んでいただきたいです! 』 

 なんと言っても、描写が丁寧で素晴らしい! 作者様自身の中に、ちゃんと情景のイメージがあるんだなと感じさせられます。 登場人物も魅力的な人物ばかりで、主人公格の四人だけではなく、脇を固める人物たちも素敵です。 だからこそ、作中でのやりとりも一つ一つが心に響くのでしょう。 あと、途中で仲間になってくれるさすらい戦士のレイサーが素敵すぎます。 格好良すぎです……。


★『お子様とご一緒に、でも一人でも楽しい』 

 小学校高学年以上を対象としたというこの物語に引き込まれていった私は、主人公アベルや、その仲間となっていく少年少女と同じ年頃の子と一緒に読めたらどんなに盛り上がっただろうに・・・と思いました。が、そんな不満は割と簡単に解決しました。 読んでいる私が、「あの頃」の心を取り戻したように、ハラハラドキドキしたり、レイサーというネコ科猛獣系でチョイ悪だけどエレガントで優しいさすらい戦士な貴族(長い!)に年甲斐もなくキャーキャー言ったりと、とても無邪気に楽しむことができたからです。 青少年向けの作品というのは、読者に青少年だった頃の心を取り戻させるものなのだなーと改めて感じました。 お子様と一緒に、でも一人でも楽しい。そんな冒険の旅をどうぞ。


★『映画のように壮大で優美なファンタジー』 

 描き出される空が、水が、木々があまりに美しくて思わず引き込まれます。目を閉じれば浮かんでくるのはアベルやリマール、レイサー、ラキアの旅する姿。どんな時でもお互いを思いやり助け合う彼らに心を動かされました。この作品の作者さまはどんな時も主人公に寄り添い一緒になって考え、子供たちに贈るための物語を作ることが出来ていたのではないかと思います。 続編もあるので楽しみです!


★『古典ファンタジー小説を彷彿とさせる、美しく織り上げられた世界観 』

 風景描写は圧巻で、そこには細部までしっかりと練り上げられた美しい世界を見渡すような壮大さがあります。 旅の途中で出会う人々も、とても良く描かれています。 彼らの暮らしぶりが伝わってきて、風景から感じられた世界観へ、より奥行が生まれていました。 そして、もちろんアベルを始め、主要キャラクターたちも素敵です。 世界観を食ってしまうような強烈な個性ではなく、 あくまで地に足のついた素朴な魅力がそれぞれにあり、彼らが交わす心地よいやり取りに魅せられます。古典ファンタジーの名作を彷彿とさせるような美しく織り上げられた作品でした。


★『情景描写と丁寧で優しい世界観。』 

 王道な冒険もので丁寧な日本語で安心して読める点。 内容と作風がラノベとかではなく児童文学的のような作品の印象で、 読書始めとして肝心の読んでもらいたい小学校高学年くらいの子たちの目にたぶん触れられてないと思う…。すごくもったいないよ…。


※ ほかにも素敵なレビューをくださった皆様、ありがとうございました(良い思い出になりました) ― 月河未羽

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登場人物紹介

アベル(アベルディン)。王アレンディルの弟でありながら、正体を隠して訓練中の見習い兵士。難病の治療で1歳から15歳頃まで神秘の山にいたため、風の声が聞けるという特殊能力を持つ。弓の名手。

リマール。アベルの親友。イルマ山に住む賢者(名医)のもとで勉強していた薬剤師。現在は正規軍の軍医になる勉強中。

レイサー。王族とも親しいベレスフォード家の末っ子。4人の男兄弟の中で、一人だけ騎士の叙任を辞退した。さすらい戦士をやめて実家のカルヴァン城へ戻り、現在は若い騎兵隊の隊長を務めている。

ラキア。ローウェン村の見習い精霊使い。5歳児と変わらない言動ばかりする少女。アベルのことが好き。

アレンディル。アベルの兄。ウィンダー王国の若き王。父ラトゥータスの遺志を受け継ぎ、争いの無い時代を強く望んでいる心優しい君主。

ルファイアス。ベレスフォード家の長男。先代王ラトゥータスと、現国王アレンディルの近衛兵を務めた英雄騎士。父のあとを継いでラクシア市の領主となり、カルヴァン城の城主となった。

ラルティス。ベレスフォード家の次男。南の国境警備隊の総司令官を務め続けている美貌の三十代。

エドリック。ベレスフォード家の三男。王アレンディルの近衛兵。

アルヴェン。イスタリア城主の息子で跡取り。レイサーの友人。

イルーシャ。バラロワ王国(敵国)の王女。野心に燃えている父とは違い、争いを嫌う穏やかな美姫。

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