第14話 言葉にすると

文字数 544文字

 こう書いていると、現実と乖離してしまう感じがする。
 ここで自分の思いを集約して、文字に込めると、そこで終わってしまう感がある。
 自分の中の「彼女」をここに表現することで、現実にいる彼女より、自分の中の彼女を大事にしたい、そんな気配が大きくなってしまう。

 ところで、運命というものは、あるだろう。ここでこういうことを書ける、この環境、この状況は、ひとりでつくられるものではない。
 こうしている自分は、自分の意思でそうしている。けれど、こうすることができている環境は、ひとりでつくられたものではない。
 ひとりの人が、ひとりと出逢い、家庭らしきものをつくる。この「らしきもの」は、ふたりでつくったものとはいえ、出逢うまで、生きてきたことが前提である。
 そして180度、まったく違う性質・性格をお互いが持っていたならば、おそらく一緒に暮らすこともなかったろう。
 どこかに共感するところがあって、その部分が、ほかの人と違う、何か特別な人、と思わせたのだろう。
 一緒に暮らせる人なんて、そう滅多にいるもんじゃない。
 だから感謝することができている。ありがたい、在り難い人だと思う。

 このことを、何をおいても、忘れぬようにしたい。
 それだけが、いいたいことだった。
 忘れっぽい、この自分というやつに。
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