第9話 サル篇  しつれいなクイズ

文字数 1,362文字

司会者「公開番組『クイズ・私はだれでしょう?』の時間です。今日のゲストは誰でしょう?み 
    なさん推理してくださいね。ゲストは質問に『はい―いいえ』だけで答えてください。
    では質問者、どうぞ。」
質問者「あなたは食用ですか。」   
ゲスト「いいえ、私は食用ではありません。」
質問者「あなたは動物ですか。」   
ゲスト「はい、私は動物です」
質問者「貴方はほ乳類ですか。」   
ゲスト「はい、私はほ乳類です。」
質問者「あなたは肉食ですか」   
ゲスト「半分は『はい』、半分は『いいえ』です。」
質問者「あなたは雑食ですか。」   
ゲスト「はい、私は雑食です。」
質問者「あなたは大型動物ですか。」
ゲスト「どうでしょう?ウシほど大きくはありませんが、ネズミほど小さくもありませ 
    ん。」
質問者「あなたは単独で暮らしていますか。」 
ゲスト「いいえ。基本、単独生活ではありません。」
質問者「あなたは群れで暮らしていますか。」
ゲスト「はい、私は群れで暮らしています。」
質問者「あなたは夜行性ですか。」 
ゲスト「いいえ。私は夜行性ではありません」
質問者「あなたは木登りが得意ですか。」 
ゲスト「はい、私は木登りが得意です。」
質問者「あなたはずるがしこいといわれますか。」
ゲスト「お答えできません。その質問は偏見に基づいています。」
質問者「質問を変えます。あなたは頭がいいですか。」
ゲスト「はい。この十二の動物たちの中では、いちばんだと思います。」
質問者「あなたはむかしばなしの世界では嫌われ者ですか。」
ゲスト「いいえ。またまた、偏見による質問です。中にはそういう誤解に基づく創作があるよう
    ですが、私はまったくもって清廉潔白・人畜無害な性質です。」
司会者「警告します。ゲストは勝手に回答内容を足さないようにしてください。」
質問者「あなたは有名ですか。」 
ゲスト「はい。私は有名です。」
質問者「あなたは人気がありますか。」
ゲスト「はい。私は人気者です。その証拠に、私が主人公のむかしばなしや歌や絵本がいっぱい
    あります。」
司会者「警告2回目です。回答は付け加えないように。警告3回で退場になります。」
質問者「あなたは、顔が赤くてしわくちゃで、お尻も赤くて、うぬぼれやで、キーキーうるさい
    お調子者ですか。」
ゲスト「さっきから失礼な質問ばかり、なんなんだ。公衆の面前でさんざんコケにされて、反論
    もできないなんて、こんなのおかしいじゃないか!!」
司会者「3度目の警告、はいレッドカードです。残念ながらゲストは退場です。おやおや、ゲスト
    さん、真っ赤な顔でキーキーわめきながら連れて行かれましたね。さて、質問者さん、
    答えはもうおわかりのようですね。」
質問者「はい、とてもわかりやすいゲストでした。答えは『おサル』です。」
司会者「正解です。今日のゲストは、動物で、ほ乳類で、雑食で、大きくも小さくもなく、群れ   
    で暮らし、自称頭が良くて有名で人気者、お尻と顔が赤くてしわくちゃで、うぬぼれや
    で、キーキーうるさいお調子者のおサルさん、でした。拍手!!」
見物人「なかなか鋭いつっこみだったな!でも、あのおサルさん、ちょっと気の毒な気もするけ
    ど・・・ま、いいか、面白いし(笑)」
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