第14話 名付け再び:「真犯人フラグ」のあの人は存在し得ない?

文字数 1,457文字

 今回は前回への付け足しになります。短めです。
 前回「ゴッドファーザーな話」にて、登場人物の名前と年齢が実情にそぐわない(人名に用いることのできない漢字を使っている)のは、ミステリとしてはまずいんじゃないか、伏線になり得るのだからという旨を書きました。

 実は、お茶の間を毀誉褒貶でざわつかせたばかりの人気ドラマにも、同じ例を見付けておりまして、これまでによそのサイトなどでちょこちょこ書いてきたのですが、反響が薄い。(^^; 折角なので、同じテーマを扱ったこちらでも触れておこうという次第です。
 そのドラマとは、日本テレビ系列で放送されていた「真犯人フラグ」。
 いかにも犯人をロジックで特定できるかのように視聴者を煽りながら、その実、ロジックでは当てられない造りになっていたので、推理物としては下の下だと個人的には思うのですが、一方で考察系というドラマの新たな(?)ジャンルを確立したんじゃないかとも捉えられ、その意味でならまあ評価しないでもないかなぁ。

 さて、勿体ぶってきましたが、「真犯人フラグ」の登場人物で、普通ならあり得ない名前の持ち主は誰か。

 相良凌介です。そう、主人公です。

 公式サイトによると凌介は四十八歳。ドラマの中の防犯カメラ映像などで、このドラマは二〇二一~二〇二二年に掛けて起こった出来事だと分かります。なので、凌介の生まれ年は一九七三年とするのが妥当でしょう。
 そして凌介の凌の字が人名に用いることができるようになったのは、一九九〇年から。この時点で凌介は高校二年生ぐらいですから、アウトです。この名前はあり得ない。

 ここから、
“あり得ない名前を持つ凌介は、つまり偽名を使っていることになり、もしかしたら詐欺でも働こうとしているのかもしれない!”
 なんて考察を展開してもいいのですが、その前に一九七三年生まれでも本名が凌介であっておかしくないケースが少なくとも一つあります。

 改名です。

 改名のハードルは、私のような素人一般人が漠然と思い描いているよりは低いらしいです。無論、真っ当な理由がなければ申請しても却下されるだけでしょうけど、とりあえずあまりにも酷い珍名・奇名であれば、名前の変更が認められる可能性が高いんだとか。
 またうまい具合に、ドラマには凌介の実の両親は登場しませんでした(よね?)。ひょっとするといわゆる毒親で、我が子(相良凌介)に酷い名前を付けたのかもしれません。
 改名は未成年である内の方が認められやすいとも言いますので、凌介は十七歳のときに「凌介」に改名したと想定すること自体には無理はありません、多分。

 ただし、酷い珍名から変えるのなら、できる限りよい名前をと願い、じっくり考えて付けるのが当然でしょう。その基準で言うなら、凌の字は単体なら決して悪くはないけれども、「凌辱」のように使われることがあるため、避けるという人も一定割合いるようです。そのような考えの人達からすれば、凌介改名説もまた納得できないものとみなされるかもしれません。

 一つ言えそうなのは、制作サイドが「真犯人フラグ」のスピンオフ的物語を新たに作るとしたら、凌介の改名と両親にスポットライトを当てるのはありなんじゃない?といった辺りで、〆とさせていただきます。

 それでは。


※Huluで配信されたらしい同ドラマ関連動画は一切見ておりません。もしその動画の中で、凌介の名前について明快に説明されているようでしたら、今回の私の話は的外れあるいは出し遅れの妄想ということで、ご笑覧してもらえれば幸いです。
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