第二話～エントリー～
文字数 1,125文字
数十分後
初めて来たけど…大きい…。
大きな電波塔にも見えるその建物はTWFタワー。
世界各地にこのTWFタワーが建っており、全国の人とTranceWorld、通称TWという世界で戦ったり試合を観戦したりできる。
…あ、あれって立花さん…。
ふと目をやると、先程の赤リボンの少女…TWF名エイラのポスターがでかでかと飾られていた。
来たれ！新たなTWFファイター！
君の挑戦を私は待つ
ポスターになるまで有名なんだ…。
……私もこんな風に…。
(…って何考えてるんだろ私…。)
TWFなんて暴力…。
いえいえ、TWFは決して暴力など言ったものではございません。
えっ、だ、誰ですか！？
失礼しました、私は此処TWFタワーの受付嬢をやっています。
気軽にお姉さん、とでもお呼びください。
突然現れたのはTWFタワーの受付嬢。初心者のガイド、バトルの申し込みなどをする為に必要な存在だ。
見たところTWFにまだご参加なされていないようですね。
此方へ。
え、ちょ、ちがっ…。
少女はお姉さんに逆らえずずるずるとタワーの中へと入って行った。
では此方に立っててください。
あの…私…きゃっ！？
少女の立っている場所から突然光が放たれる。
えーっと…天使恵瑠、可愛らしいお名前ですね。
年齢は16歳、好きなものはスイーツ系、嫌いなものは雷。得意教科は体育なんですね。苦手教科は数学……はい、もういいですよ。
光は消え、恵瑠はぽかんとした顔をしている。
あ、あの…今のは…それになんで私の名前とか…。
あ、すみません。
これはTWFシステムと言って、TWFに参加なされる際に恵瑠様の情報を調べ、それに見合った種族を選ぶ事ができるのです。
え、しゅ、種族…？
はい、例えば今人気急上昇中のエイラ様は妖怪“烏天狗”となります。
恵瑠様も此方で種族を自動で選び、晴れてTWFのプレイヤーとなれるのです。
受付嬢は説明を続ける。けれど恵瑠はTWFに参加をする気などなかったため、慌てて鞄に入っていたリングを取り出した。
あ、あの！私の鞄にこれが入ってて…私…。
あら、それはTWFリング。なんだぁ、恵瑠様ったらTWFを暴力などと言っておりましたが興味がお有りなんじゃないですか。
え、ち、ちがっ…。
これをこうして…よし、これで完了です。
受付嬢は恵瑠の腕にリングをはめた。
ちょ、これを返したくて…。
では、TWに入れば種族に合わせた姿に変わりますので。いってらっしゃい！
いや、まっ…きゃっ！
受付嬢に背中を押され、前のめりに倒れかければ光に包まれた。そしてびたんっと倒れる。けれど不思議と痛みはない。それどころか擦り傷すらなかった。
いたた……って…痛くない…？
……この姿って…え、ええええええ！？
後ろを見ると受付嬢の姿はない。
天使恵瑠、TWF参加
