13

文字数 451文字

橋を渡る。
その下には水がちょろちょろと流れている。
以前はもっと水量があったはずだ、だから橋が架かっている。数日前か数十年前には川底だったところに降りて手で水をすくおうとするが浅すぎてすくえない。
手で堰き止めると徐々に水たまりができていくものの、手を上げればすぐにか細い流れに戻ってしまう。この微々たる水の流れが、ふたたび川となるのだろうか。
川底から出て水の流れを上流へたどって歩く。
かつてある男が言った。

 『水は流れるんだ、低いところへ向かって』

水の流れは枯れた川底から逸れて丘から続いている。かなりの急斜面だが、舗装路があって上るのに支障はない。急斜面が終わると緩やかな上り斜面が続いている。
道路の両脇には朽ちた一軒家が並んでいる。しばらく進んだところにある一段高い小さな丘を上る。
開けた場所の先に朽ちた町が広がっている。隅に小さな祠と湧水がある。かつては鎮守の森だったのかもしれない。
ブランコ、滑り台、砂場、そして見晴らしのよさそうな場所にベンチが置いてある。
そのベンチには防護スーツが座っていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み