第19話:超円高、ビンラディン殺害と欧州通貨危機

文字数 1,750文字

 結局、首相の正式退陣表明は、特例公債法などが成立した8月26日にずれ込み、野党などから内政・外交の深刻な停滞を招いたと批判された。菅氏の後継を決める民主党代表選が、行われることになった。その結果、野田佳彦財務相が決選投票で海江田万里経済産業相を破った。野田氏は、8月30日、国会で第95代、62人目の首相に指名され、野田内閣は9月2日に発足した。

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故などの影響で、各地で電力供給不足が深刻化した。東電管内では震災直後、地域ごとに送電を一定時間止める「計画停電」を実施。電力需要が高まる夏場の7月1日~9月9日には、政府が東電と東北電力の管内で37年ぶりに「使用制限」を発動した。

 そのため、対象企業だけでなく、個人も節電に大わらわとなった。一方、定期検査で運転を停止した原発の再稼働に地元自治体が同意しないケースが続出した。地震・津波の危険性が指摘された中部電力浜岡原発は5月、政府の要請で運転停止に追い込まれた。全国54基の原発のうち、年末時点で稼働しているのはわずか6基。

 原発依存度の高い関西電力と九州電力の管内では、供給不足をカバーするため冬場の節電目標を設定した。2011年9月6日、早朝、証券会社の担当者からSPDRゴールドの気配値が14210円と高いので売りと言われ同意し全株、成り行き売りを出した。すぐ売れ、税引き後利益3769万円で、投資残高が、6693万円となった。

 その後、2011年10月4日、早朝、証券会社の担当者からSPDR・SP500の気配値が8480円と安いので買いと言われ同意し4千株、成り行き買いを出すと、3392万円で買え、投資残高が、3043万円となった。東日本大震災や欧米経済の先行き不安などを背景に、円相場が歴史的な高水準で推移し、輸出企業の海外移転による国内産業の空洞化に懸念が強まった。最初の円急騰は3月17日だった。

 震災前は1ドル・82円前後だった円は、投機筋の思惑買いで76円25銭を付け、1995年に記録した戦後最高値「79円75銭」を16年ぶりに更新。翌日に先進7カ国は、11年ぶりの協調介入に踏み切った。その後も日米金利差の縮小観測や欧州債務危機を受け、ドルやユーロを避けた投資資金が比較的安全とされる円に向かう流れが継続。10月31日には一時75円32銭を付けた。

 日本政府、日銀は、8月に続いて、単独で、円売り介入を実施。介入額は、1日としては最大の7兆7000億円程度と推計されているが、円高基調に大きな変化は出なかった。東京電力福島第1原発の事故を受け、欧州各国でも脱原発の動きが強まった。電力の23%を原発に頼るドイツでは7月、国内にある17基の原発全てを2022年までに廃止する内容の改正原子力法が成立した。
 
 1990年にいったん原発を廃止しながら、電力自給率改善を目指し原発推進再開を目指していたイタリアは、6月の国民投票で原発新設計画を否決。スイスでも9月、原発を34年までに全廃する政府計画が議会で承認された。欧州では86年のチェルノブイリ原発事故以来の脱原発傾向が近年、地球温暖化防止で二酸化炭素排出を抑える必要もあって原発回帰へと転換していたが、福島原発の事故はこの流れを180度変えた。

米軍は5月1日、パキスタンの首都イスラマバード北方約50キロのアボタバードで、米国同時テロの首謀者とされる国際テロ組織アルカイダの首領ウサマ・ビンラディン容疑者の潜伏先を急襲、同容疑者を殺害。オバマ大統領は緊急声明を出し「米国はやると決めた事は何でも達成する」と10年間続いた米国の対テロ戦争で最大の成果を誇った。一方、アルカイダは6月16日、後継指導者にナンバー2でエジプト人のザワヒリ容疑者を指名。

 「ジハード『聖戦』継続」を宣言。1957年にサウジアラビアで生まれイスラム過激派による国際テロの黒幕と呼ばれたビンラディン容疑者に対する急襲作戦は、米特殊部隊が極秘に遂行。パキスタンへの事前通告がなく両国関係は急速に険悪化した。ギリシャの放漫財政に端を発した欧州債務危機が深刻化した。同国とアイルランドに続き、ポルトガルも欧州連合「EU」と国際通貨基金「IMF」の金融支援を受けた。
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