第9話【解放】
文字数 2,474文字
【サイパ】の結婚式には出席していたことは【ヴェイト】も気づいていたが、あんなことがあったのもあり、
【ヴェイト】も気まずく、声すらかけることはできなかった。
一方の【ヴェイト】は伯父の狂気とも思える凶行に恐怖を抱いていた。
そして、一抹の不安が駆け巡った。
轟音が止み、伯父が見たのは【魔性】を庇い、撃たれて倒れた【ヴェイト】の姿だった。
人であった【セレン】が好きになった【ヴェイト】その人だった。
【セレン】は笑みを浮かべながら、静かに言葉を続けた。
姿かたちは【セレン】でありながら、それは徐々に【魔性】のそれに代わっていった。
狩猟銃とぐったりと崩れ落ちた伯父を見た【村長】は伯父の凶行を察してはいたが、
【ヴェイト】たちとのやり取りに頭が付いていけなかった。
【セレン】は村の人たちの方に向けると笑みをこぼして、一礼してから海の底へと潜っていった。
ひかり輝くなか、海面からいくつもの光が天へと昇って行った。
村人たちはそれを涙を流しながら見つめていた。
つづく