最終話 プレゼント
文字数 822文字
気がつくとちいちゃんはお布団の中で横になっていました。
「ちいちゃん、はやく起きないと小学校に遅れるわよ」
洗濯物を干そうとしてベランダにむかうお母さんが起こしにきました。夜中に洗濯機の中に入ってトビーに出会ったのは、全部夢だったのでしょうか。
いいえ、夢ではありません。その証拠に、ちいちゃんはピンクの靴下と、赤と白のしましま模様の靴下をはいていました。なくなったはずのその靴下はちいちゃんが洗濯機の世界でみつけたものです。ちいちゃんは確かに洗濯機の世界に行って、そして帰ってきたのです。
それからというもの、お洗濯をしても靴下がなくなることはありませんでした。トビーたちのいる世界があたたかくなったので、もう手袋もマフラーも必要なくなったのでしょう。
トビーたちが恋しくて、時々、ちいちゃんは洗濯機をのぞいていました。でも中に入ることはしません。お母さんに、洗濯機の中に入ってトビーに会ったと話したら、今度からは黙って中に入ってはいけませんと言われました。勝手に洗濯機の中に入るのは、勝手に人のおうちに入ることと同じ、いけないことなのだそうです。ちゃんと入っていいですかと聞いて、入っていいですよというお返事を待ちなさいと言われたので、ちいちゃんは洗濯機をのぞく時はいつもまずふたをとんとんと叩きます。そして「入ってもいいですか」とたずねます。しかし「入ってもいいですよ」のお返事はありません。お返事がないので、ちいちゃんは決して洗濯機の中には入りませんでした。
トビーはもうどこかへ行ってしまったのでしょうか。いいえ、そんなことはありませんでした。
ある日のこと、靴下がまた片っぽなくなりました。ちいちゃんのお気に入りのピンクの靴下です。その日はクリスマスの前の日でした。
クリスマスの朝、ちいちゃんの枕もとにはピンクの靴下に入ったプレゼントが届けられていました。プレゼントは、虹色に輝く丸い、まるでシャボン玉のようなキャンディーでした。
「ちいちゃん、はやく起きないと小学校に遅れるわよ」
洗濯物を干そうとしてベランダにむかうお母さんが起こしにきました。夜中に洗濯機の中に入ってトビーに出会ったのは、全部夢だったのでしょうか。
いいえ、夢ではありません。その証拠に、ちいちゃんはピンクの靴下と、赤と白のしましま模様の靴下をはいていました。なくなったはずのその靴下はちいちゃんが洗濯機の世界でみつけたものです。ちいちゃんは確かに洗濯機の世界に行って、そして帰ってきたのです。
それからというもの、お洗濯をしても靴下がなくなることはありませんでした。トビーたちのいる世界があたたかくなったので、もう手袋もマフラーも必要なくなったのでしょう。
トビーたちが恋しくて、時々、ちいちゃんは洗濯機をのぞいていました。でも中に入ることはしません。お母さんに、洗濯機の中に入ってトビーに会ったと話したら、今度からは黙って中に入ってはいけませんと言われました。勝手に洗濯機の中に入るのは、勝手に人のおうちに入ることと同じ、いけないことなのだそうです。ちゃんと入っていいですかと聞いて、入っていいですよというお返事を待ちなさいと言われたので、ちいちゃんは洗濯機をのぞく時はいつもまずふたをとんとんと叩きます。そして「入ってもいいですか」とたずねます。しかし「入ってもいいですよ」のお返事はありません。お返事がないので、ちいちゃんは決して洗濯機の中には入りませんでした。
トビーはもうどこかへ行ってしまったのでしょうか。いいえ、そんなことはありませんでした。
ある日のこと、靴下がまた片っぽなくなりました。ちいちゃんのお気に入りのピンクの靴下です。その日はクリスマスの前の日でした。
クリスマスの朝、ちいちゃんの枕もとにはピンクの靴下に入ったプレゼントが届けられていました。プレゼントは、虹色に輝く丸い、まるでシャボン玉のようなキャンディーでした。