(二)-17

文字数 309文字

 翌週月曜日、相月美佳子が仕事から戻ってきて、シェアハウス「パンプキンキャビン」の玄関ドアを開けて中に入った。
 すでに仕事から戻ってきていた川合優輝と七久保菜那、そしてこのシェアハウスのオーナーである沢渡千代がダイニングで神妙な顔をつきあわせていた。
「やっと戻ってきた」
 優輝が言った。
「ちょっとね、まずいことになったの」
 千代さんが続けた。
「何があったの?」
「郷美ちゃんがいなくなったのよ」
 千代さんが低い声で言った。
「郷美ちゃんが?」
 美佳子は少し驚いたが、そうでもないか、と思い直した。美佳子は自分がこのシェアハウスにやってきたことを思い出したからだった。
 一〇年前にここへ来たとき、美佳子も同じだった。

(続く)
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