第43話
文字数 377文字
透日はホースと毛がそり返えってしまったデッキブラシを手に取った。
蛇口を捻り水を撒いていると「ねぇ、ちょっといい」と今度は眼鏡の女ではない声が透日を呼んだ。
ブロンドヘアに緑色の瞳。桜坂クレンだ。
監視に来たのではない。透日は直感的にそう思った。
「あなた、シュン•クマルという名前の男知ってる?」
桜坂は水浸しになっている足元を気にせず近づく。
「えっと…、いや、知りません…」
透日は唐突な質問に困惑した。
たとえ出会った人物の中に、シュン•クマルがいたとしても、その名を打ち明けることはしないだろう。
あえてのそういう訊き方をしているのか。
「…本当に?」
腕組みし、透日の前に立った。
デッキブラシを握ぎりしめる。
「はい…すみません。そもそも、なぜ僕にそんなことを?」
「別に君だけに聞いてるわけじゃない。知らないならいい。もし何か気になることがあったら、ここに繋いで」
蛇口を捻り水を撒いていると「ねぇ、ちょっといい」と今度は眼鏡の女ではない声が透日を呼んだ。
ブロンドヘアに緑色の瞳。桜坂クレンだ。
監視に来たのではない。透日は直感的にそう思った。
「あなた、シュン•クマルという名前の男知ってる?」
桜坂は水浸しになっている足元を気にせず近づく。
「えっと…、いや、知りません…」
透日は唐突な質問に困惑した。
たとえ出会った人物の中に、シュン•クマルがいたとしても、その名を打ち明けることはしないだろう。
あえてのそういう訊き方をしているのか。
「…本当に?」
腕組みし、透日の前に立った。
デッキブラシを握ぎりしめる。
「はい…すみません。そもそも、なぜ僕にそんなことを?」
「別に君だけに聞いてるわけじゃない。知らないならいい。もし何か気になることがあったら、ここに繋いで」