ドライ・ボーンズ (2016/6/23)

文字数 558文字

2016 年4月25日 発行
著者:トム・ボウマン  訳:熊井ひろ美
早川文庫



アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞作品であり、著者ボウマンにとっても処女作。
本作は、しかしながら、広義においてもミステリーとしての味わいはなかった。

物語は、ペンシルヴぇニア州北東部、森と山に覆われた辺境地にある小さな町の警官が主人公だ。
身元不明の死体、部下の殺害を捜査する内容はあまりにも冗長で詳細な描写過多の印象が強い。
言い換えれば、さっさと読み進めることができない、どちらかというと難解な文章で構成されている。

警官が歩く森のなか、尾根の上、谷、は建国以来の自然と文明の廃墟が同居している。
極貧困の住民たちは警察権力に協力するはずもない。
捜査活動の中で、大きなトラウマになっている亡くなった妻との思い出が度々挿入される。
この地は主人公の故郷であり、すべてを失って戻ってきた最後の場所。

繰り返しになるが、本作をミステリーとして楽しみことは難しい。
実は「カントリー・ノワール」というジャンルがある。
コーマック・マッカーシーの「血と暴力の国(2005年)」が一つの頂と言われているが、
本作はその系統にあるものといえる。
元々ハード・ボイルドは西部劇から誕生し都市にその活躍の舞台を移した経緯を考えれば、
本作はハード・ボイルドの原点回帰になるのか。
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