過ぎ去りし世界 (2016/5/10)

文字数 555文字

2016年4月10日印刷 4月15日発行
著者:デニス・ルヘイン 訳:加賀山卓朗
発行:早川書房



デニス・ルヘインのコグリン一家シリーズ第三作、
前作に引き続いて三男のジョセフの壮絶なギャング人生に再会できた。
本シリーズ第1(運命の日)は史実に基づいたボストン警察紛争をコグリン家の父/長男の対立で描いた大河歴史フィクションだった。
そして第2作の《夜に生きる》はコグリン家のはみ出しやんちゃ坊主三男、ジョセフが闇の世界でのし上がっていく ノワール・サクセス物語だった。
その最終章では最愛の妻を銃撃されるところで終わっている。
それから十年近く経過した本作では、主人公はファミリーのボスを引退しながらも、陰の実力者としてフロリダ州タンパを支配している。
時は第二次大戦中、ギャングにとっても生き残りが厳しい中、主人公暗殺の噂が流れてくる。
誰にも恨まれることはない…と自問しながらも過去の罪に怯えるジュセフ。
アメリカのマフィア組織の中で生き残るため、一人息子を守るため、盟友との友情を果たすため・・・彼にできることは何か?

ルヘインの特徴である、ヴァイオレンス描写が本作の読みどころだが、
一方でジョセフの内省の声がアイルランド魂、コグリン家魂を呼び起こす。
ボストンを描いてきたルヘインが、フロリダに生きるボストンを見事に際立たせてくれた。
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