私の1960年代 (2016/4/14)

文字数 627文字

2015年10月8日 初版発行、2016年1月29日 第10刷発行
著者:山本義隆
発行:金曜日



1969年1月、東大紛争は終息し東大全共闘山本委員長も力尽きた。
僕が大学に入ったのはその4月、70年安保闘争からその後ずっと全共闘の亡霊を追い続けていた。
本書は帯の宣伝コピーにあるように「反戦の問われるいま 東大紛争とその源流」をその真っただ中にいた山本さんの言葉で振り返る。
不思議なようにも思うが彼は今まで一切回顧録のようなものは書いていない。
東大紛争の中で自己否定を実践して以来、また官憲により表舞台から徹底的に排除されたこともあって、本来は東大大学院で学習するはずの物理学を独学習し、また、不得意分野の哲学にも研究範囲を広げ達成した科学思想史分野での功績は偉大だ。

僕は壮大な科学技術史 「磁力と重力の発見 3巻(みすず書房)」、
福島の悲劇に際して出された「福島の原発事故をめぐって― いくつか学び考えたこと(みすず書房)」、以上2冊しか拝見していないが、
本書においては日本の近代科学技術における東大の存在そのものを厳しく弾劾している。
東大紛争の詳細に併せて、科学技術の危うさを実感できた。
戦前の人たちに「なぜ、あのような戦争や軍閥政治を止められなかったのか?」といってきた我々が、今の若い世代の人たちに同じような事を言われるのではと彼は心配している。
そのために彼は個人でやれることを探していかねばならないと宣言している。
再びあの東大全共闘委員長の姿を見た。
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