漁港の肉子ちゃん (2018/4/4)

文字数 554文字

2014年4月10日 初版発行 2017年11月25日 23版発行
西加奈子
幻冬舎文庫



2015年の直木賞受賞作「サラバ!」の時から気になって仕方がなかった。
手元に未読の本が溜まっている状況なので結局手を付けないまま、西加奈子さんはほったらかしのままだった。

ひょんなことから本作「漁港の肉子ちゃん」を絶賛する記事を読んだ、「まずは軽いところから・・」と初めて西加奈子作品に触れてみた次第だ。
タイトルから,《カジュアル》だと感じた、漁港、肉子…仕方がないだろう。

語り口は軽妙、北陸方言とおかしな大阪弁が混在した少女キクりんの一人称形式のコメディのような、入り口だった。
何か所、おとぎ話のような生き物のエピソードが挿入される、このパートはとてもダークだ。
肝心の肉子ちゃん(キクりんのお母さん)の昔話もそっと語られることもある。

メインストーリーは漁港に流れ着いた、肉子ちゃんとキクりんが土地の人々のなかに溶け込む様子なのだが、肉子ちゃんは持ち味の天真爛漫で、キクりんは堅い自己防衛本能からトラブルを多発、それでも漁港に根を張っていく。

人間は大人も子供も完璧な人格者はいない、
ではどうすれば生きて行けるのかというテーマが最後にずしりと、読み終えた僕にのしかかってきた。
ナルシストを標榜する僕には、強烈に皮肉な作品だった。
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